[連合新会長] 労働者守る取り組みを
( 10/8 付 )

 連合は定期大会で神津里季生会長の後任に、芳野友子副会長を選んだ。1989年の結成以来、初の女性トップである。
 新型コロナウイルス禍で雇用環境は厳しくなり、特に非正規や女性にしわ寄せが及んでいる。組織の内部では野党支援を巡る路線対立があり、課題は山積だ。
 芳野氏は約704万人の組合員の代表として労働運動のかじ取り役を担う。現場の声を受け止め、苦境にある労働者を守る取り組みで、労働組合としての存在意義を示してもらいたい。
 選出後のあいさつで芳野氏は「安心して働き続けられる環境整備のため、組合員の声を受け止めながら運動を前進させたい」と述べた。
 特に意識するのが、女性や非正規労働者への対応だ。
 今年8月時点で企業などに雇用されている非正規労働者は2060万人。その半数以上が女性だ。連合はリーマン・ショック後に支援を強化。組合員数は発足時の約800万人が600万人台に減ったが、非正規の加入増加で700万人台に盛り返している。
 芳野氏は女性参画の推進やジェンダー平等、多様性に満ちた社会の実現を呼び掛けている。非正規を含めた働く人たちの処遇改善や職場環境の向上へ、実行力を発揮してもらいたい。
 会長選出は人選が難航し、立候補期限を延長する異例の事態だった。役員推薦委員会が新会長と目してきた候補者らは、出身の産業別労働組合の反発を受けるなどして名前が消えた。
 芳野氏は、これまでのような大企業労組ではなく、中小製造業を中心とする産別「JAM」の出身だ。産別のトップも経験していない。JAMは旧同盟系と旧総評系の労組が組織統一した経緯があって、中立的なことから芳野氏が適任との意見が広がっていった。
 「トップのなり手にも事欠く事態は、労働運動の退潮を象徴している」との専門家の指摘もある。混乱が尾を引けば、連合の発信力低下も招きかねない。新会長の下、一体感を持った組織運営に努めるべきだ。
 組織内の対立は発足以来抱える民間労組と官公労組の確執が背景にある。
 連合は、2009年の民主党政権誕生に最大の支援組織として貢献した。だが、政権陥落後、野党は離合集散を繰り返す。17年の衆院選前、神津氏は小池百合子東京都知事が主導した希望の党への民進党の合流を容認。連合内で路線の違いが生まれるきっかけとなった。現在は立憲民主と国民民主の両党に割れている状況だ。
 31日投開票の衆院選でも支援が分かれる状況は続く。傘下の労組それぞれの選挙対応は、連合内の亀裂の広がりにつながりかねない。芳野氏がどう乗り切るか、調整能力にも注目したい。