[基腐病拡大] 業界一丸で抑え込みを
( 10/13 付 )

 サツマイモの立ち枯れなどを引き起こす基腐(もとぐされ)病が、主産地の鹿児島県を中心に全国で広がっている。
 今年、症状が出た県内の農場は作付面積の6割を超え、被害は深刻である。関係機関は対策に取り組んでいるものの、確実に防げる方法はまだ見つかっていない。
 土壌消毒の徹底など現在あるマニュアルに沿った防除に一丸となって取り組むとともに、国や県は根本的な対策を急がなければならない。
 基腐病は糸状菌(カビ)が引き起こす病害で、感染すると地面近くの茎が黒くなり、次第に茎全体やイモを腐らせる。国内では2018年に鹿児島、宮崎、沖縄の3県で初めて確認され、現在20道都県に広がっている。
 農林水産省によると、発生拡大で20年のサツマイモ収穫量は前年比8%減の68万7600トンで、4年続けて前年を割った。中でも全国首位の鹿児島県は18%減の21万5000トン、宮崎県も14%減の6万9000トンと落ち込みが大きい。
 被害は今季も続く。鹿児島県が9月に取りまとめた調査では、発症した農場は約6600ヘクタールに上り、1カ月前の調査と比べ約2200ヘクタール増えた。水を介して株内に侵入する病原菌が8月の長雨で広まったとみられている。
 県産サツマイモの約半数は焼酎用である。そのうち約9割を占めるコガネセンガンは基腐病にやや弱いとみられており、被害が心配される。例年、8月の盆明けごろから焼酎の仕込みが始まるが、基腐病対策で収穫が早まっており、今年は原料確保のために7月から始めた蔵元もあるという。
 青果用への影響も大きい。収穫後すぐ処理される加工用などとは異なり、糖度上昇や周年出荷に対応するため一定期間貯蔵する。収穫時には異常がないように見えたものの貯蔵中に腐ってしまう事例もあったという。安定的な出荷を阻害する要因になりかねない。
 県などは2月、防除対策として関係機関と共同研究した成果をマニュアルにまとめた。「早期発見・処分」「農薬の複数回散布」などを呼び掛けている。
 サツマイモは低コストで生産でき、災害に強く、高齢者や兼業農家でも取り組みやすいのが利点と言える。そのため、防除に十分な労力や費用を割ける農家は少ないとみられる。農場で選別する労力や費用が増せば、離農につながる恐れもあろう。
 加えて焼酎、青果、でんぷん、加工と用途が幅広いため関係している業界も多い。それだけに何としても被害を最小限に食い止める必要がある。
 基腐病の研究はまだ始まったばかりだ。関係機関や業界は現場と課題を共有し、一刻も早く決定的な解決策を見いだしてもらいたい。生産者が使いやすく、実践しやすい防除方法の確立をさらに進めるべきである。