[ワクチン3回目] 公平な接種への配慮を
( 10/14 付 )

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を行う国が増えている。イスラエルを皮切りに、欧米やシンガポールなどでも始まった。
 感染力の強いデルタ株が広がり、2回接種しても感染する人が増えたことが一因だ。日本も岸田文雄首相が「早ければ12月からの開始を想定し、準備を進める」と表明した。
 一方、世界保健機関(WHO)は未接種者の多い途上国へのワクチン供給が遅れることを懸念。追加接種は抗体が十分できなかった人に限定し、接種が進んだ国にはさらなる調達を控えるよう訴える。各国は科学的知見を見極めるとともに、世界全体で公平に接種できるよう配慮しなければならない。
 米国のファイザー製やモデルナ製の新型コロナワクチンは2回接種すれば完了とされる。規定回数を超える接種は「ブースター」と呼ばれ、低下した免疫を再び高める効果が期待される。
 追加接種は、高齢者や免疫不全の人に限っている国が多い。だがイスラエルは、対象を60歳以上から12歳以上の全市民へ拡大した。予防効果が高いと判断されれば、ほかの国でも範囲が広がることが予想される。
 日本では厚生労働省が接種時期を2回目完了から8カ月以降を目安にすると提示。接種対象者や接種体制について議論を進める考えだ。
 ワクチンの感染予防効果は接種から時間がたつと低下する。だが、ファイザーなどによると、重症化を防ぐ効果は半年後も高く維持されるという。政府は準備を怠ってはならないが、いつ、誰に接種が必要かについては、科学的データに基づき、丁寧に検討してもらいたい。
 途上国にワクチンが行き渡っていない現状は深刻だ。
 英大学研究者らの集計では世界のコロナワクチン接種回数は先月下旬、累計60億回に達した。しかし、低所得国で少なくとも1回接種しているのは人口の約2%にすぎない。WHOは年内に世界人口の40%の接種を終えることを目標にしているが、アフリカでは17%にとどまる見通しだ。
 接種の進まない国々で感染が長引けば、ワクチンの効きにくい変異株が出現する可能性が増す。世界全体への重大なリスクになりかねない。
 国際協力でワクチンを途上国に行き渡らせる枠組み「COVAX(コバックス)」は、資金不足などで供給が遅れている。途上国が入手しやすいよう、コロナワクチン特許の一時放棄などを求める交渉も、英国やドイツなどの反対で先行きは見えない。
 ワクチンの生産・供給体制には国際社会の協力が欠かせない。日本も資金提供などで力を尽くすべきだ。