[食品ロス削減] 消費者と事業者連携を
( 10/19 付 )

 政府は10月を「食品ロス削減月間」と定め、食べられるにもかかわらず捨てられる食品を減らすよう啓発を進めている。
 食品廃棄物は、事業者による製造・流通の過程だけでなく、日常生活からも発生する。国民一人一人が自分の問題として受け止める必要がある。
 大量の廃棄は地球環境や経済活動に影響を及ぼしかねない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献が社会で求められる中、消費者と事業者が連携して食品ロス削減に取り組まなければならない。
 国内の食品ロスの発生量は2018年度で推計600万トン。国民1人当たり、ご飯茶わん1杯分を毎日捨てている計算になるから見過ごせない。
 19年10月施行された食品ロス削減推進法は、自治体に具体的な推進計画を策定する努力義務を課している。品質に問題がない食べ物を企業などが寄付し、困窮者らに提供する「フードバンク」の活動支援も盛り込んだ。
 鹿児島県食品ロス削減推進計画(21~25年度)は数値目標として、「食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合」80%、「社会や環境に配慮した商品・サービスを選択している人の割合」70%を掲げる。期間中に意識調査を実施し、検証する計画だ。
 県は今後、学校や地域での消費者教育を進めるほか、事業者が環境への配慮や社会貢献に積極的に取り組むよう働き掛ける。
 消費者は、家庭での食べ残しを減らすことや、過度に鮮度にこだわって食材を捨てたり、野菜の食べられる部分を切りすぎたりしないよう心掛けたい。宴席では食事に専念する時間を設けることも効果があるだろう。
 賞味期限は「おいしく食べることができる」期限で、過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。「過ぎたら食べない方がよい」消費期限とは異なることを確認したい。
 一方で事業者は、需要予測情報を製造業や小売業で共有し、的確に在庫管理する工夫が求められる。余った食材を再利用し、フードバンク支援や農業用として活用することも進めたい。
 県内には各地にフードバンクがある。志布志市では子ども食堂も運営する団体が社会福祉協議会やロータリークラブと連携し、住民に食品を提供する仕組みができている。こうした活動の広がりを県民で支える必要もある。
 東京五輪・パラリンピックでは、準備した弁当が大量廃棄されて批判を浴びた。社会や環境に配慮した消費行動「エシカル消費(倫理的消費)」の考え方を改めて共有することが大切だ。
 食品ロス問題では、私たちの道徳心も問われている。食べ物を大切にする意識を持ち、国民運動として取り組んでいきたい。