[衆院選] 新型コロナ、反省踏まえ対策議論を
( 10/21 付 )

 岸田文雄首相が衆院解散の理由の一つとして挙げた新型コロナウイルス対策は、今回の選挙の大きな争点の一つだ。各党は医療提供体制の強化や給付金の支給で、政策を競う。
 全国で感染が落ち着き、鹿児島県内の飲食、観光業も含めて、ようやく経済が動き始めている。これまでの反省を踏まえ、感染を抑えながら、再拡大に備える好機といえよう。
 各党は財源も含めた対策の道筋を示すべきだ。併せて、コロナ後も見据え、感染症に強い社会づくりについても議論を深めてもらいたい。
 政府は先週、予想される「第6波」を視野に入れた医療体制整備方針を打ち出した。公的病院を中心に病床数を上積みし、第5波のピーク時と比べて感染力が2倍程度になった場合でも重症者の増加に対応できるとする。
 菅政権でのコロナ対策は、緊急事態宣言のタイミングやワクチンの開始時期など、後手に回るケースが多かった。第5波では感染者の増加に医療が対応しきれず、自宅療養中に症状が悪化して亡くなる患者も相次いだ。
 岸田首相は整備方針について「この夏の感染拡大時に病床が十分に稼働しなかった反省も踏まえた」とする。最悪を想定した危機管理は当然だ。
 ただ、今回の方針は骨格であり、全体像のとりまとめは選挙後の11月となる。現在でも難航している医療人材の確保など課題は山積している。具体策が示せなければ、衆院選への単なるアピールになりかねない。
 各党の公約には、コロナ禍で厳しさを増した国民生活に配慮した現金給付策が目立つ。長引く自粛生活の影響は非正規雇用や子育て世帯、医療従事者まで幅広く及ぶ。困っている人たちにいかに支援を届けるか、その財源をどうするのか、それぞれの主張に耳を傾けたい。
 コロナ禍では、保健所の体制や医療機関との連携など、感染症に対する日本の備えが脆弱(ぜいじゃく)であることも明らかになった。ワクチンの開発競争でも後れを取り、海外製の争奪戦も含めて、ダブル敗戦とも言われた。
 自民党は、公衆衛生分野の司令塔機能を強化するとしているが、岸田首相が総裁選で表明した「健康危機管理庁」創設からは後退して見える。一方、野党は、立憲民主党が権限を集約した首相直轄の司令塔組織を、国民民主党は疾病予防管理センターの創設などを打ち出す。
 コロナが収束したとしても、別の感染症が再び世界的に流行する可能性は否めない。科学的な根拠に基づき、機動的に対応できるシステムをいかに構築するか。国民を守り、危機に備えるための論戦が必要だ。