[衆院選] エネルギー政策、「脱原発」議論深めたい
( 10/22 付 )

 原則40年の運転期限が3年後に迫る薩摩川内市の九州電力川内原発1号機で、最長20年の運転延長申請に必要な特別点検が始まった。4年後が期限の2号機も来年2月下旬に開始する。
 九電は特別点検の結果を踏まえて延長するかどうかや申請時期などを判断する考えを示しているが、運転延長が現実味を帯びてきたのは間違いない。
 東京電力福島第1原発事故以来、原発への国民の不信は根強い。使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは行き詰まり、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定も難航している。一方、脱炭素社会の実現には、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない原発が必要との考え方がある。
 原発を巡る主張は政党によって濃淡がある。原発に依存するのか。依存しないのであれば代替電源をどう確保するのか。エネルギー政策は衆院選の大きな争点だ。各党は議論を深め、有権者に分かりやすく提示すべきである。
 岸田政権は、菅義偉前首相が掲げた2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標達成を目指す。脱炭素を重視する姿勢は各党に共通している。
 改定作業中のエネルギー基本計画案では、脱炭素実現の手段として原子力を明記し、30年度の電源構成目標は現行の20~22%に据え置いた。実現には30基程度の稼働が必要だが、原発事故後に再稼働できたのは10基だけだ。
 こうした状況を踏まえ、自民党は目標達成に原発は不可欠として、再稼働を進める考えだ。「可能な限り依存度を低減する」とするものの、新技術開発を後押しするなど今後も原子力を活用する姿勢を鮮明にする。
 ただ新増設にどう取り組むのかは判然としない。反発を恐れてぼかしたとすれば、政権党として無責任だ。連立を組む公明党のスタンスはやや異なり、将来的に「原発ゼロ」を目指し、新設は認めないとする。
 一方、野党の立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の4党は、再生可能エネルギー拡充や原発のない脱炭素社会の追求といった事実上の共通政策に合意している。立民は新増設、現状での再稼働とも認めない。共産も再稼働は中止し、新増設も不可能と主張する。
 このほか、日本維新の会は「市場原理の下で既設原発のフェードアウトを目指す」、国民民主党は「原子力に代わるエネルギー源が確立されるまでは重要な選択肢」などと訴える。
 代替電源の期待がかかる再生可能エネルギーには、電力の安定供給維持やコスト上昇といった課題がある。CO2排出量が大きい石炭火力発電からの脱却も進めなければならない。各党は実現可能な具体策を示してもらいたい。