[南日本文化賞] 道開く努力たたえたい
( 10/30 付 )

 芸術や産業経済など各分野で郷土の発展に貢献した人々を顕彰する第72回南日本文化賞(南日本新聞社主催)が4個人1団体に贈られる。
 たゆまぬ努力で道を切り開いた顔触れがそろう。研さんを重ねる不屈の姿勢は鹿児島県民の励みとなり、人口減少に悩む地域に活力をもたらす光にもなろう。心から敬意と祝意を表したい。
 芸術部門の彫刻家楠元香代子さんは鹿児島市在住で、作家、指導者として鹿児島の彫刻界をリードする。昨年の改組新日展では、新型コロナウイルス禍の中の希望を表現した樹脂像で最高賞に輝いた。
 鹿児島大学の学生時代に彫刻家・中村晋也さんと出会い、立体の奥行きの表現にのめり込んだ。同市の丹下ウメ像など手掛けたモニュメントも多い。創作意欲は尽きず、真摯(しんし)に作品と向き合う姿は後進の模範である。
 環境文化部門の常田守さんは奄美市在住の自然写真家だ。7月に世界自然遺産に登録された奄美大島で約40年にわたり、希少種の調査や保護活動に地道に取り組んできた。
 「奄美の森を守ることが島の豊かさにつながる」が持論。島の未来を見据え子ども向けの観察会にも精力的に協力する。自然の魅力とともに、信念を貫く大切さも多くの人に伝わっているに違いない。
 産業経済部門で受賞した山佐木材(肝付町、佐々木幸久会長)は、スギの構造用集成材などで日本農林規格(JAS)認証を取得するなど県産材の用途拡大に貢献してきた。
 木造の高層建築を可能にする直交集成板(CLT)にいち早く着目、普及に努めてきた。現在は、鉄筋を埋め込んで強度を大幅に高めた新建材を鹿児島大学と共同開発し、その実用化にも取り組む。常に挑戦を続ける姿勢は業種の枠を超えて見習いたい。
 特別賞は、ともに東京五輪日本代表で金メダルを獲得した柔道の浜田尚里さん(霧島市出身、自衛隊)とソフトボールの川畑瞳さん(鹿児島市出身、デンソー)が選ばれた。
 浜田さんは女子78キロ級で決勝まで4試合全て寝技で一本勝ちした。鹿児島南高校時代、自分の強みを寝技に見いだし、厳しい練習を重ねた。今後の目標は明言していないが、「まだ伸びる感覚はある」というから楽しみだ。
 川畑さんは開幕戦に2番二塁手で先発、その後も要所で代走を務めるなど全6試合に出場した。結果が出ず苦しんだ時期を乗り越え、念願の舞台に立った。2年後の鹿児島国体では地元代表として出場予定。活躍が待ち遠しい。
 多彩な人材に支えられ、今日の郷土があることを改めて実感する。贈賞式は来月1日にある。それぞれの功労に感謝するとともに、後に続く人材の登場にも期待したい。