[輸血用血液不足] 若者にも献血促したい
( 11/4 付 )

 鹿児島県内で輸血用血液の確保が厳しさを増している。新型コロナウイルスの影響で、献血の機会が減ったことが背景にある。
 県赤十字血液センターによると、必要量に対して、400ミリリットル献血換算で2020年度は3833人分、21年度は4~8月の累計で1025人分が不足。他県から供給を受けて補った。
 献血は国民の命と医療体制を守るのに不可欠な活動だ。幅広い人々の善意に頼るしかない。コロナ下にあっても支え合いの輪をしっかり維持したい。
 血液不足は、献血バスによる企業やイベント会場での集団献血の中止・延期が相次いだことが主な原因だ。今年4~8月は計30会場に上り、鹿児島県に「まん延防止等重点措置」が適用された9月は23会場に跳ね上がった。
 血液センターは協力者の確保策を強化している。その一つがインターネットを通じて事前予約を受け付ける「ラブラッド」の活用だ。
 スマートフォンやパソコンで献血の種類や日時、会場を選べる。「密」を避け、待ち時間が短くなるほか、検査結果の通知も迅速化され献血者のメリットは大きく、鹿児島市に2カ所ある献血ルームでは利用者が増えている。さらに普及を進め、献血しやすい環境を整えたい。
 輸血用血液の不足分は全国で融通する体制が確立されている。現時点で安定供給に支障はないが予断を許さない。献血が常に必要なのは、有効期間の短い成分があるためだ。献血から造る血液製剤のうち、最も短い血小板が使えるのは採血後4日間に限られる。
 一方、コロナワクチンを接種しても、ファイザー製とモデルナ製は接種後48時間を空ければ献血可能だ。これらの情報を丁寧に発信し続けることが、県民の理解を深めるのに欠かせない。
 県内の献血者の延べ人数は近年、増加傾向にあった。20年度は6万5015人で、前年度から426人増えた。はがきやメールによる呼び掛けが功を奏した形だ。ただ繰り返し献血する人が多く、実人数は減っている。
 特に若い世代の減少が著しい。20年度の20代以下の献血者数は延べ1万526人で、20年前の3割以下の水準に落ち込んだ。少子化の影響を考慮しても深刻な状況と言える。献血への理解を深めていく必要がある。
 輸血用血液の多くはがんや白血病の治療に使われ、50代以上が85%を占める。高齢化の進展でさらに需要が高まることが予想される。安定的に供給できなくなれば、輸血を必要としている人を救えない事態を招きかねない。
 県内の感染者は減っているが、第6波への警戒は続く。献血は「不要不急の外出」には当たらない。県民一人一人が献血の重要性を認識し、制度を支えていきたい。