[COP26] 日本も「脱石炭」加速を
( 11/6 付 )

 英国で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、190の国や地域、組織が既存の石炭火力発電所の段階的な廃止や新規建設の停止で合意した。
 日本などの支援で石炭火力の建設計画が進むベトナムやインドネシアのほか、韓国や石炭産出国のポーランドなど石炭火力の段階的廃止を新たに表明した23カ国も含まれている。
 気候危機が深刻化する中、産業革命以来の気温上昇を1.5度に抑えるため、温室効果ガスの排出削減が急務となっている。二酸化炭素(CO2)の排出が特に多い石炭火力の廃止に向けた動きを歓迎したい。
 しかし、日本は石炭火力の国内利用を続ける方針を変えておらず、国際的潮流に背を向ける。政府は「脱石炭」を実現する道筋を早急に示し、取り組みを加速させなければならない。
 岸田文雄首相はCOP26の首脳級会合で、発展途上国の温暖化対策を支援する資金に関して新たに5年間で最大100億ドル(約1兆1350億円)追加する方針を表明した。
 先進国から途上国への支援については2020年までに官民で年間1000億ドルの資金動員を約束したものの、達していない。不足分を率先して補い、アジアなどの脱炭素化支援に貢献する姿勢をアピールする狙いがうかがえる。
 だが、首相は石炭火力については言及を避けた。消極的な姿勢は批判を集め、温暖化対策に後ろ向きな国に贈られる不名誉な「化石賞」に選ばれる始末だ。政府は世界からの厳しい視線を重く受け止めなければならない。
 日本は30年度の温室効果ガス削減目標を従来の13年度比「26%減」から「46%減」に上積みし、50年の実質ゼロを目指す。実現の裏付けとなるエネルギー基本計画では再生可能エネルギーを最重視するが、約2割は電力供給の安定性や経済性に優れる石炭火力に頼る前提となっている。
 発電時にCO2を出さない原発は東京電力福島第1原発事故後、安全面に対する国民の不信が根強く再稼働が進んでいない。政府は再エネの主力電源化を進めるため電力の安定供給やコスト低減といった課題解決に最優先で取り組むべきだ。
 COP26では、温暖化対策への各国の温度差も表面化している。世界最大の温室効果ガス排出国・中国の排出実質ゼロの目標時期は日本や欧米より10年遅い60年。中国、米国に次ぐ第3位のインドはさらに遅い70年だ。
 さらに、先に工業化し大量の温室効果ガスを排出した先進国が、発展中の国に強力な温暖化対策を迫っているとして途上国側の不満も根強い。
 世界第5位の排出国である日本には他の大排出国とも連携し、温暖化対策で世界を主導していく責務がある。