[和牛五輪] 質・量共に再び日本一に
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 全国和牛能力共進会(全共)が2022年10月、霧島市と南九州市で開かれる。「和牛のオリンピック」と呼ばれ、和牛の改良成果を5年に1度競う。鹿児島県では52年ぶり、2度目の開催となる。
 鹿児島は国内最多の33万頭を飼育する屈指の黒毛和牛産地である。全共の結果は産地の水準を測るバロメーターだ。好成績で質・量共に「日本一」の地歩を固め、鹿児島黒牛のブランドに磨きをかけたい。
 全共は肉質や飼養管理技術の向上を狙い、全国和牛登録協会が主催して1966年に始まった。生体で評価する「種牛」、枝肉による「肉牛」の2部門で審査する。第12回となる鹿児島大会は特別部門の「高校・農業大学校」と合わせ、全国から459頭が出品される予定だ。
 本番まで1年となり、出品する牛の選抜が各産地で進む。鹿児島では肉牛の部の候補が72頭に絞り込まれ、種牛の部は地域ごとに候補を調査している段階だ。来年8月、代表となる7頭、16頭がそれぞれ決まる。
 全共は時代のニーズに即した牛づくりを目指して毎回テーマが設けられ、鹿児島大会は「和牛新時代 地域かがやく和牛力」を掲げる。肉量や肉質に加え、今回からうま味を左右する脂肪(サシ)の「質」が一層重視されるようになる。
 サシの入った霜降り肉は高級品の代名詞だが、高齢化や健康志向の高まりから敬遠する消費者が増えていることが背景にある。審査では口溶けを良くし、風味も増すとされるオレイン酸などの量に配点を厚くする。群雄割拠するブランド牛の差異化につながり、注目されよう。
 和牛のオリンピックと称されるだけに、関係者ならずとも気になるのは賞レースである。
 鹿児島黒牛は発育と肉質が良く、丈夫な子を産むことで定評があり、上位入賞の常連だ。前回の宮城大会は九つの審査区分のうち四つで1席を取り、初の団体賞をつかんだ。
 今回は地元開催でもあり、団体連覇に向けて力が入る。1席の数をさらに積み上げ、前回は手の届かなかった種牛、肉牛の両部門で最優秀の内閣総理大臣賞も狙う。
 結果にこだわる目的は鹿児島黒牛の知名度アップに他ならない。飼養数トップにもかかわらず、ブランドとしては県外の消費者に浸透しきれていない実情がある。
 全共のPR効果は大きい。前回の団体優勝後、鹿児島黒牛はメディアで取り上げられ、引き合いが強まった。和牛は海外でも人気が高い。「2大会連続日本一」の称号を手にできれば、県が推し進める輸出戦略にも弾みがつくはずだ。しっかり準備したい。