[第2次岸田内閣] 国民の声生かす政治を
( 11/11 付 )

 第2次岸田内閣が発足した。第1次内閣は発足10日後に衆院が解散、衆院選を経て、ようやく本格始動する。
 当面の課題は新型コロナウイルス対策と格差是正を含む経済対策である。コロナ流行「第6波」への備えや、「成長と分配の好循環」実現に向けた実行力が早速問われる。
 その他にも外交や安全保障、温暖化対策など課題は山積する。国民の声をすくい上げて政策に反映させる丁寧な政権運営に努めるべきである。
 先月の衆院選で、自民、公明両党は、国会運営を主導できる絶対安定多数を超えて293議席(追加公認含む)を確保。岸田文雄首相は「国民の信託を頂いた」と表明した。
 近く全体像が示されるコロナ対策には治療薬承認手続きの緩和、3回目のワクチン接種、検査体制や保健所機能の充実などが盛り込まれる見通しだ。迅速な対応が欠かせない。
 政府は外国人のビジネス関係者や留学生らの入国制限を大幅に緩和した。ただ、観光客は対象外で関連業界からは不満の声が出ている。緩和のタイミングが今後の焦点になろう。
 政権浮揚の鍵を握るのが経済対策である。財政支出は30兆円超とする方向で盛りだくさんの内容だが、格差是正につながるか実効性が課題になる。
 政府は成長と分配の好循環の具体化に向けて新しい資本主義実現会議を開き、賃金を上げた企業への税制支援強化やコロナ禍に苦しむ観光業支援などを提言した。岸田政権は分配戦略の一丁目一番地に挙げる看護師や介護士、保育士の処遇改善も目指す。
 最大の柱である18歳以下の子どもへの10万円相当の給付はきのう、年収960万円の所得制限を設ける方針で与党が合意した。年内に現金5万円、来春までに子育て関連で使える5万円相当のクーポンを支給するという。
 コロナ禍で困窮する家庭や子ども、アルバイト収入が減った学生、職を失った非正規労働者に支給するのなら異存はない。だが、家計調査によると、昨年の勤労者世帯の平均年収は約730万円で、余裕のある世帯にも給付されることになるのは理解に苦しむ。
 さらに、昨年13兆円近くをかけて実施した国民1人当たり一律10万円の特別定額給付金は、少なくとも7割が貯蓄に回ったという民間の分析もある。経済対策として効果が乏しかったのは明らかだろう。
 公明は衆院選公約で10万円「相当」の給付を掲げた。自民が党内に難色の声がありながら公明の主張を受け入れたのは、来夏の参院選で協力が欠かせないと判断したからではないか。選挙対策のばらまきとの批判は免れまい。
 与党は来週、経済対策の決定を目指す。国民が今必要としている政策なのか。見直しをためらってはならない。