[馬毛島基地入札] 公告を取り消すべきだ
( 11/12 付 )

 西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画を進める防衛省はきのう、仮設プラントを設置するため、工事4件の入札を公告した。基地本体に関連する初の工事発注である。
 基地整備が環境に与える影響を調べる環境影響評価(アセス)の最中にもかかわらず、手続きを着々と進める姿勢は到底容認できない。公告をいったん取り消すべきではないか。
 このままでは市民との溝が一層深まることを防衛省は自覚してもらいたい。
 生コンクリートのプラント3件、砕石プラント1件で、滑走路建設などに使うコンクリートや砂利を製造する。プラントは島外で製作し、島内に設置するのは最終的なアセス結果を記した評価書の公告後となる。4件の総額は約170億円と見込まれている。
 県と西之表市は9日に防衛省から「近く入札公告する」と説明を受け、アセス途中での入札は了承できないと反発していた。
 基地に反対する八板俊輔市長は「プラントは自衛隊施設の本体工事に直結する」とし、「調査結果を丁寧に説明し施設整備への住民理解を得て進むべきだ」と批判。賛成する市議でさえ「今の時期の入札は強硬姿勢の表れ。これでは市民と国の溝が深まる」と懸念した。
 防衛省は「アセスが終わった際、速やかに施設整備に着手できるよう可能な範囲で準備を進めたい」と公告の理由を説明する。
 これまで「施設整備に当たっては地元の理解・協力を得ることは重要」としており、今回の進め方は疑問だ。基地ありきで地元を考慮していないと批判されても仕方あるまい。
 馬毛島の計画は島全体を基地化し、訓練時には米軍機が離着陸を繰り返す国内で例を見ない巨大事業である。にもかかわらず、基地整備を既成事実化するように手続きを強行し、疑問視されたのは初めてではない。
 防衛省が港湾施設のイメージ図を公表した時も、地元自治体は「公表前日、急に説明を受けた」と困惑した。
 防波堤や桟橋は、事実上の空母化に向けて改修中の海上自衛隊護衛艦「いずも」も入港できる規模とみられる。馬毛島と種子島の間に大型艦船が行き交う可能性があり、好漁場ゆえに不安の声が出るのも当然だろう。
 塩田康一知事は今回の公告について「プラントを造るかどうかはアセス結果による。地元理解を得ないと進められないのではないか。今後も地元の考えを伝える」と語る。
 知事には県民の暮らしを守り、不安を取り除く責任がある。基地の概要や訓練内容だけでなく、整備の進め方についても、国に対して主体的な働き掛けを強めるべきである。