[文通費] 日割りだけでは不十分
( 11/18 付 )

 国会議員の「文書通信交通滞在費」(文通費)が、10月31日投開票の衆院選で当選した新人や元職に、10月分の満額100万円支給されていた問題で、与野党が見直しに動きだしている。
 口火を切った日本維新の会が同額を徴収し寄付する意向を打ち出し、自民、公明両党も同様の対応を表明した。立憲民主党は日割り支給を可能とする法案の提出を目指すとしている。
 満額支給は国民の感覚とかけ離れており、受け取らない選択は当然だ。使途報告の求められていない文通費はこれまでも、「第2の歳費」と問題視されてきた。日割りの論議だけで終わらせず、使い道の公開にまで踏み切るべきだ。
 維新の新人議員が会員制交流サイト(SNS)で満額支給に疑問を呈し、問題提起したのがきっかけだった。松井一郎維新代表は「永田町は世間の常識とかけ離れている」と批判。国庫への返納は公選法が禁じる寄付行為になるため、党から被災地などに寄付する考えを示した。
 文通費は国会法と歳費法で、「公の書類発送」などの費用と規定されている。国会議員の給与に当たる歳費とは別に、原則毎月10日と月末に議員本人の口座に50万円ずつが振り込まれる。歳費と異なり、日割り支給の制度はない。
 使途の詳細は定められておらず、非課税の上に残金の返還義務もない。2001年には衆院議長の諮問機関「衆院改革に関する調査会」が使途報告書の提出義務付けと公開を提言した。
 維新も使途公開や日割りを求める改正法案を参院に提出してきたが、実現に至っていない。国会はこれまで、身を切る改革に後ろ向きだったと言わざるを得ない。
 自公が今回、素早く「返還」に動いた背景には、来夏の参院選がある。維新だけに「手柄」を渡すわけにはいかない、との思惑がにじむ。12月召集で調整する臨時国会で追及されることを避ける意図もあろう。
 文通費が議員活動に必要な経費であるのなら、その使途は明確にすべきだろう。地方議員の政務活動費も収支報告書や領収書の公開を行う自治体が増えている。国会議員が範を示すためにも、残ったら返還しなければならない制度にまで改めてもらいたい。
 19年参院選広島選挙区を巡る買収事件で有罪が確定し、当選無効となった河井案里元参院議員や、実刑判決が出た河井克行元法相にも辞職するまで議員歳費と文通費が支払われた。
 自公両党は当選無効となった議員の歳費返還を義務付ける法改正を検討しており、こちらも早期成立が必要だ。
 国会議員には国民の常識に沿って、自らの既得権を徹底的に洗い直すことを求めたい。