[経済対策] 透明性と実効性課題
( 11/20 付 )

 巨額の財政規模に見合う効果が得られるのか。国会で十分に論議しなければならない。
 政府はきのう、新型コロナウイルス禍に対応した経済対策を決定した。財政支出は過去最大の55兆7000億円。岸田文雄首相が注力する分配政策のほか、経済再建から成長戦略まで施策は多岐にわたる。
 コロナ禍で生活に打撃を受けた国民は多く、早急な支援は政治の責務だ。必要とする人に確実に届けなければならない。
 一方、財源の多くは借金に当たる国債の追加発行で賄う見通しだ。将来へつけを回すだけなら来夏の参院選を見越したその場しのぎと言わざるを得ない。
 民間投資分などを含めた事業規模は78兆9000億円。「感染拡大防止」「社会経済活動の再開と危機への備え」「『新しい資本主義』の起動」「安全・安心の確保」の4本柱だ。
 生活支援策では18歳以下の子どもを対象に10万円相当を給付する。生活困窮世帯への給付やマイナンバーカード新規取得者や保有者への最大2万円分のポイント付与なども盛り込んだ。
 子どもへの給付は年収960万円の所得制限を設けた。だが、共働きの場合、年収の多い方で判定され、どちらも制限内なら合算した世帯所得が高くても受け取れる。「不公平」の声が上がるのは当然だ。
 政府は児童手当の仕組みを活用した迅速な給付を主張するが、合理性を欠けば政治への信頼は損なわれよう。給付の狙いも明確にしなければならない。
 分配政策では救急医療を担う病院などに勤務する看護師のほか、保育士、介護職の賃上げを実施する。ほかの業種に比べて低水準と言われており、処遇改善は欠かせない。経済対策は来年2~9月分であり、10月以降の継続も検討が必要だ。
 対策の裏付けとなる2021年度補正予算案には31兆9000億円を計上。年内成立で年明けからの景気押し上げを見込む。国債の追加発行に伴う財政悪化を回避し、健全化を図る道筋も示してほしい。
 成長戦略では、科学技術立国の実現などを掲げた。経済安全保障の確立も柱の一つで、5000億円規模を確保し、半導体やワクチンなどの製造拠点整備を後押しする。
 これらが着実に成果を上げなければ、借金だけが残る「ばらまき」となりかねない。透明性と実効性をいかに保つか、岸田政権の手腕が問われている。