[がん検診控え] 命にも関わりかねない
( 11/21 付 )

 鹿児島県内のがん検診の受診者数が、新型コロナウイルスの感染拡大前より低い水準にとどまっている。
 多くのがんは早期に発見できれば治る可能性は高くなる。しかし、進行して見つかると治療法の選択肢が狭まり生存率が大きく低下する。発見の遅れは命に関わりかねないと理解し、定期的な受診を心掛けることが大切だ。
 県民総合保健センターによると、国が推奨する5種類のがん検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸(けい)を2019年に受けた人は約30万5000人だったが、流行が始まった20年は約27万人と大幅に減少した。受診者の減少は、対象者が会場での感染を心配し、受診を控えたことが原因とみられる。
 回復基調にあった21年は、「第5波」に見舞われた8~9月に再び急落した。約3割の自治体が集団検診を延期・縮小したことも影響したという。
 延期・縮小した分を年内に再実施できない自治体もある。センターはこれらの影響で、今年1年間に約200人のがんが発見されない可能性があると推計しており、見過ごせない。
 受診控えで心配されるのは、本来早期で発見されたであろうがんが、進行した段階で見つかるケースの増加だ。
 横浜市立大のチームは9月、新型コロナ流行前に比べ、大腸で新たに早期がんと診断される人が約3割減り、逆に進行がんとして見つかる例が約7割増えたとの研究結果を発表した。懸念を裏付けるデータと言えよう。
 がんが厄介なのは、早期の段階では自覚症状がほとんどないことだ。症状が出るころには進行がんの可能性が高い。多くの場合、早期のうちに発見できる期間は、検診で見つかる大きさになってから1~2年という。急激に症状が悪化するケースもある。体調が良くても定期的な検診が必要なのはそのためである。
 県内で19年にがんで亡くなった人は5250人と死因別では最も多く、全体の24.1%を占める。人口10万人当たりの死亡率は全国平均より高い。検診控えが死亡者のさらなる増加につながらないか注視する必要がある。
 課題はコロナ下でも検診が重要なことを県民にどう啓発するかだろう。
 南さつま市は、未受診者向けの集団検診の案内状に、1人当たりの市の助成額を明記してお得感をアピールするリーフレットを同封したり、ネット予約を導入したりしている。利便性を高めたことで、受診者増につなげたという。各自治体も工夫を凝らして住民の理解を深めてほしい。
 がんによる国内の死亡者数は年間約38万人。国民の2人に1人がかかるとされ、誰もが直面する可能性のある病気だ。コロナを警戒しすぎて、より大きなリスクを背負わないよう、正しい知識を持ち、早期発見に努めたい。