[県体育館整備地] 幅広い視点から熟議を
( 11/23 付 )

 鹿児島県は、計画中の新総合体育館の整備候補地に鹿児島市内の5カ所をリストアップし、基本構想検討委員会に提示した。検討委は26日の会合で1カ所に決め、来年1月下旬に基本構想を塩田康一知事に提出する見通しだ。
 候補地選定の在り方などを巡って、これまで10年以上足踏みが続いてきた。候補地が絞り込まれれば、計画は具体化に向けて動きだす。
 新体育館は長く活用される県民共有の財産だ。スポーツ振興はもちろん、どこに立地すれば中心市街地の回遊性や経済効果を最大化できるか。利用者の利便性を重視する視点も欠かせない。議論を尽くして県民が納得できる最適地を選んでもらいたい。
 県は現体育館の老朽化に伴い、2009年に新体育館の検討を始めた。これまでに県庁東側、鹿児島港本港区、鹿児島中央駅西口が候補地となったが、いずれも頓挫した。
 塩田知事は「場所ありき」の進め方が混乱を招いた要因と捉え、再び検討されていた県庁東側を候補地とする計画を昨年白紙に戻した。その上で新体育館の機能や規模を協議する検討委を設けて議論を始めた。
 検討委は交通の利便性などから整備地を鹿児島市内と決定。これを受け、県が敷地面積などの条件から、ドルフィンポート跡地、住吉町15番街区、鴨池ニュータウン9.10号街区、農業試験場跡地の県有地4カ所と、脇田処理場等跡地の市有地1カ所を選定した。
 だが、各候補地には課題もある。例えば住吉町15番街区は津波対策でかさ上げのコストがかかる。農業試験場跡地は用途地域変更などの手続きで一定の時間が必要となる。課題の洗い出しに漏れはないか、詰めていくことが欠かせない。
 5候補地については、県が「交通利便性」「周辺住宅への影響」「費用面での留意点」など12項目の評価基準で点数化する。さらに検討委で防災面や経済効果などの特徴を総合的に評価して1カ所に絞り込む。過去の混乱を繰り返さないよう、最後まで透明な選定を徹底しなければならない。
 こうした中、検討委の複数の委員が利便性の面などから有力視しているのがドルフィンポート跡地だ。県は周辺を含む本港区エリアでコンベンション・展示機能を備える施設の整備可能性を調査中だが、「体育館の多目的利用で整合性は取れる」とする。
 ただドルフィンポート跡地と住吉町15番街区は鹿児島市のサッカースタジアム整備候補地と重なる。この地が新体育館の整備地に選ばれた場合、サッカースタジアムはどうなるのか。併せて検討する必要はないのか。
 大型事業を円滑に進めるため、県と市は連携し、調整を図った上で県民に丁寧に説明すべきである。