[働く女性の自殺] 孤立させない支援急務
( 11/24 付 )

 新型コロナウイルス下、働く女性の自殺が増えたことが2021年版自殺対策白書で明らかになった。厚生労働省は「女性に多い非正規労働者が感染拡大の影響を受けている可能性がある」との見方を示している。
 非正規労働者は正社員に比べ立場が弱く、職場の休業や営業時間短縮の影響を受けやすい。加えて、子どもが通う学校の休校などで家事や育児の負担が増した人もいるだろう。
 経済的にも精神的にも追い詰められている女性たちを孤立させず、社会で支えていかなければならない。しっかりと届く支援を急ぎたい。
 白書によると、20年の全体の自殺者数は2万1081人で11年ぶりに増加した。女性が7026人と前年から935人増えたためだ。
 女性の件数を過去5年平均(15~19年)と比較すると、職業別で最も増えたのが「被雇用者・勤め人」1507人(381人増)だった。原因・動機では「職場の人間関係」「職場環境の変化」の増加が目立った。
 働く女性の半数以上は非正規労働者だ。総務省の調査では、20年平均の非正規労働者数は前年比75万人減。特に女性は同50万人減で、男性と比べ約2倍の減少幅だった。飲食業や宿泊業などコロナ禍で打撃を受けた業種は非正規で働く女性も多く、失業などで苦境に追い込まれている姿がうかがえる。
 貧困家庭を支援するNPO法人が4月、約2000人を対象に実施した調査では78%がコロナ下で減収になったと答えた。「家族の食べ物が買えないことがあった」との回答は半数に上った。その後、感染が拡大し、状況はさらに深刻化している恐れがある。
 政府は生活費の貸付制度の拡充を柱とした支援策に取り組んできた。しかし、仕組みや手続きが複雑で申請に踏み切れない人もいる。最後のセーフティーネット(安全網)とされる生活保護も支給条件や資産調査が厳しく、申請をためらう人が少なくない。
 こうした制度は必要な人が気後れすることなく申請でき、安定した生活が送れるよう運用しなければならない。一層の周知も求められる。
 このほか、女性の過去5年平均との比較では「学生・生徒」の自殺も140人増えた。生きづらさを感じる若い世代への丁寧な対応も必要だ。
 一方、20年に自殺した男性は11年連続で減少しているとはいえ、1万4055人と依然高い水準にあることにも留意しなければならない。
 厚労省は感染拡大後、会員制交流サイト(SNS)などによる相談対応を強化した。鹿児島県内でも自治体や民間団体が電話やSNSで相談に応じている。男女を問わず自分だけで悩みを抱え込まず、必要な時は迷わず利用してもらいたい。