[みずほ改善命令] 解体的出直し求めたい
( 11/28 付 )

 システム障害を繰り返したみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に金融庁が業務改善命令を出し、頭取と社長、会長の3首脳が総退陣することになった。
 頻発したシステム運用の失敗は顧客に被害が及んだだけでなく、日本の金融システム全体への信頼をも損ないかねない事態となっていた。経営トップが責任を負うのは当然である。
 解体的な出直しで企業統治の在り方を見直す必要がある。今後のかじ取り役を担う経営陣は、顧客本位の姿勢で改革に取り組み、信頼回復に努めなければならない。
 みずほ銀では今年2~9月に8回のシステム障害が表面化した。中でも2月末の障害では、全国の現金自動預払機(ATM)の約8割が停止し、5000超のキャッシュカードや通帳が内部にのみ込まれ、取り出せなくなった。障害の規模に加え、事態把握と顧客対応の遅れも問題視された。
 金融庁は9月にも業務改善命令を出し、システムの監視を強めてきた。今回の改善命令は金融庁の検査結果を受けた最終的な処分となる。
 一連の障害について金融庁は、経営陣がシステムが安定稼働していると誤認し、コスト削減を優先させた人員配置を行ったことが原因と指摘。現場の実態を軽視したり、障害で顧客にどのような影響が出るかを推し量れなかったりした問題が背景にあると結論づけた。みずほは重く受け止め、企業風土を徹底的に改善するべきだ。
 みずほは過去の障害を受け、その防止などを目指した新システムを4000億円を超える資金を投じて2019年に導入した。
 しかし、みずほに統合される前の第一勧業、富士、日本興業の3行の大口取引先だったメーカーが開発を分担し、システム全体が複雑になったと言われる。みずほ側はシステムそのものに欠陥はないと強調するが、使いこなせなければ意味はあるまい。
 金融のデジタル化が加速するなか、銀行業界ではシステムの重要性は増している。みずほはシステム開発に携わった人材を銀行や持ち株会社の首脳陣に加えるなど、安定した運用や危機管理に責任を持てる体制を構築する必要がある。
 みずほは、新銀行が再編発足した当初の02年4月と東日本大震災直後の11年3月にも大規模なシステム障害を起こし、いずれも改善命令が出ている。それでも再発したということは、金融庁の指導の有効性にも疑問が投げかけられたといえないか。
 金融庁はみずほに、再発防止策の速やかな実行や業務改善計画の策定を求めている。システムの改善や計画の進捗(しんちょく)状況について、的確に点検するよう望みたい。