[新型コロナ・オミクロン株] 侵入阻止へ対策万全に
( 11/30 付 )

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が急拡大し、各国が警戒を強めている。
 南アフリカが今月下旬、世界保健機関(WHO)に初めて報告してからわずか数日で欧州などで症例確認が相次ぐ。世界各地で広まっている可能性があり、WHOは最も高い警戒レベルに指定した。
 政府は侵入を防ぐ水際対策の強化を図るが、同時に国内での感染拡大への備えを急ぐ必要がある。
 オミクロン株は重症化のリスクを含め、従来株と比べてどれほど危険かは十分評価できていない。だが強い感染力を持つ恐れがあり、ワクチンが効きにくくなる懸念も指摘される。
 政府はオミクロン株の急拡大を受けて、全世界を対象に外国人の新規入国をきょうから一時停止する。日本人の帰国者らに検疫所が指定する宿泊施設で10日間の待機を求める対象国も拡大する。
 過去には変異株の流入に対し政府の対応が二転三転し、拡大を食い止められなかったケースがあった。流行の「第5波」は落ち着きを見せているとはいえ、リスクを見誤ることなく先手先手の対応を続けるべきだ。
 感染を広げないためには検査態勢の強化が不可欠である。厚生労働省は疑い例を迅速に見つけるPCR検査の実施を自治体に要請する方針だが、途上にある検査手法の確立も急がなければならない。
 併せて検疫所や自治体など関係機関が情報をリアルタイムで共有する体制を構築する必要もあろう。
 第5波のピーク時には1日に2万5000人以上の感染者が出て病床が逼迫(ひっぱく)し、入院できないまま死亡するケースが相次いだ。これを教訓に、政府は第6波対策として入院体制を3割増強、約3万7000人が入院できるようにする。
 ただ、中等症や重症の患者に対応するには高い専門知識や経験を持つ医療スタッフが必要だが、人材には限りがある。地域の病院ごとに役割を明確にし患者の容体が落ち着けば転院できるようにするなど、病床の確保とともにスタッフの負担軽減を図れる仕組みづくりも求められる。
 WHOは3密回避などの感染拡大防止策はオミクロン株にも有効とする。一人一人が改めて対策を徹底したい。
 変異株については、ワクチン接種の遅れているアフリカで感染の急拡大が続けば、危険な変異株がさらに生まれる温床になる恐れがある。
 これまでに南アで接種を完了したのは24%、隣国のナミビアやモザンビークでは11%台にとどまるという調査結果もある。国際社会はワクチンの公平分配を加速させなければならない。