[子ども110番の家] 地域の防犯力高めたい
( 12/3 付 )

 不審者からの声掛けや付きまといに遭った子どもが駆け込んで、一時保護や警察への通報を求めることができる「子ども110番の家」の登録件数が鹿児島県内で減少している。
 担い手である個人商店の廃業などが背景にある。県内各地で進む過疎高齢化の影響を受けているとみられ、今後も減っていく可能性がある。
 子どもたちの安心・安全を確保することは、大人の責務であり、社会全体で取り組まなければならない。住民や学校、各種団体が協力し、地域の防犯力を高めていきたい。
 鹿児島県警は1997(平成9)年6月から、子ども110番の家を運用する。通学路沿いや公園の周辺にある商店などに委嘱し、のぼり旗を掲げて目立つようにしている。
 下校中の女児が、見知らぬ男から車に乗るよう誘われて110番の家に助けを求めるなど、毎年数件は利用されている。いざという時の「駆け込み寺」として欠かせない存在である。
 だが、県内では2010年の4062カ所をピークに減少し、21年は3700カ所ほどとなっている。
 商店の廃業のほか、小学校の統廃合も影響している。学校が遠くなってバス通学になったり、通学路が見直されたりした事情もあるようだ。
 今後、地域の過疎化が進めば、人目が行き届かない場所や時間帯が増えることが予想される。全国で子どもが巻き込まれる事件は発生しており、鹿児島も例外ではない。不審者に対する監視の目を光らせておくことが肝要だ。
 地域の防犯力を高める上で、住民ボランティアの協力や青パトによる巡回は頼りになる。日頃からあいさつを交わすことは、犯罪の抑止力にもなるだろう。110番の家と併せて、地域を挙げて子どもたちを守る環境をつくり上げなければならない。
 県警はホームページで「犯罪情報マップ」を運用。110番の家を地図で示すほか、声掛け事案の発生日時や場所を掲載している。県警の「あんしんメール」に会員登録すれば、誰でも不審者や犯罪発生に関する情報を携帯電話で受け取ることができる。
 最近は新型コロナウイルス感染防止のため、学校で従来通りの不審者対応訓練ができないケースがある。防犯啓発動画を活用して関心を高めるほか、学校と警察の橋渡し役であるスクールサポーターとの連携強化も図りたい。
 地域で防犯意識が高まると、住民同士の交流が進み、高齢者の振り込め詐欺被害や少年非行の防止にもつながることが期待される。
 誰もが安心して暮らすことができるまちづくりは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)にも通じる。地域の安全を守るのは一人一人の取り組みにかかっていると肝に銘じたい。