[新型コロナ・オミクロン拡大] 水際対策の発信丁寧に
( 12/5 付 )

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が世界に広がり、日本への入国者からも確認された。
 政府は水際対策の強化措置として、全世界を対象に外国人の新規入国を禁止し、1日当たりの入国者数制限を5000人から3500人に引き下げた。諸外国と比べると異例の厳しさだが、新変異株の特徴がまだ分からない状況であり、先手の対応は理解できる。
 ただ、国際線の予約を巡っては混乱も生じた。国土交通省は到着便の新規予約の一律停止を航空各社に要請。批判を受けて一転再開した。政府の危機管理が問われることになったのは反省すべきだ。感染拡大を防ぐ根幹である水際対策については情報や方針を丁寧に説明してもらいたい。
 国際線の予約停止要請は日本人も対象で、予約していなければ原則、年内の帰国ができなくなった。
 年末年始は帰国者が多く、予約をしていない海外の日本人駐在員、出張者らから年内に帰国できなくなるとの不安の声が相次いだのは当然である。
 一律の停止要請はわずか3日で撤回した。国交省は「航空各社への事務連絡の一環」と考えていたという。航空局の独自判断であり、大臣や首相官邸へも事後報告だったとしている。国民に及ぼす影響や邦人保護の観点で、想像力を欠いた措置と言わざるを得ない。
 水際対策の徹底は重要だが、万全ではない。日本で感染が判明した2人はいずれも、政府がオミクロン株に絡み指定宿泊施設で待機を求める対象と決めた27カ国・地域以外の出発便で日本に入国した。経由地や乗り換えなど、感染可能性を洗い出せば切りがない。
 濃厚接触者の感染が判明するまで数日かかり、その間、市中感染のリスクも指摘されている。
 同じ便に乗り、空港の検査で陰性だった人は自宅などで待機している。原則外に出ることは認められないが、食料品など生活必需品を買うため最低限の外出はできる。もし感染していたら、街に広がる恐れがある。
 専門家は既に国内に感染者が入っている可能性も指摘する。水際対策と併せて市中感染防止へ準備を急ぎたい。
 オミクロン株の市中感染が報じられているのは南アフリカ、米国、カナダ、英国、オーストラリアなどで、一層の拡大が懸念される。
 期待したいワクチンの効果は、現段階でははっきりしない。製薬企業の間でも意見が異なっている。早期の分析結果が待たれる。
 一方、米製薬大手はオミクロン株にも有効とされる飲み薬を厚生労働省に承認申請した。飲む抗ウイルス薬は初めてだ。予防や治療法の研究開発の進展にも期待したい。