[臨時国会開幕] 政策の実効性で論戦を
( 12/7 付 )

 臨時国会がきのう召集され、岸田文雄首相が衆院選後初の所信表明演説を行った。
 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が世界各国に広がっている。演説では10月の所信表明と同様、新型コロナ対策を冒頭に据えた。「最悪の事態を想定」し、危機管理に強い決意を示した。
 首相就任後、初めての本格的な国会論戦となる。与野党には政策の実効性について前向きな議論を求めたい。
 首相は演説で就任直後から力を注いだ医療提供体制の充実に加え、オミクロン株について、3回目の接種を「8カ月を待たずに、できる限り前倒しする」と述べた。
 ただ、水際対策など既存の取り組みを列挙したのが目立つ。感染拡大を許せば政権の命運を左右しかねない。先日、航空便の国際線予約の停止を要請したものの、3日後には撤回する事態が起きたばかりだ。コロナ対応で再び混乱を招くことがあってはならない。
 国会の焦点はコロナ禍を受けた経済対策を盛り込んだ過去最大の補正予算案だ。歳出36兆円近くのうち経済対策関連が9割近くを占める。経済社会活動再開には感染状況を見極めるとし、感染再拡大なら「行動制限の強化を含め、機動的に対応する」と述べた。GoTo事業の再開も慎重を期すべきだ。
 分配策を巡っては、厳しい状況に置かれた人々や事業者への「手厚い支援」、賃金の引き上げにも力を入れる。コロナ禍で苦しんでいる人にこそ行き渡るようにしてもらいたい。
 都市部と地方との格差が広がっている。地方の活性化なくして国の成長はない。「新しい資本主義」の主役は地方とし、「デジタル化で地方から国全体へボトムアップの成長を実現していく」と述べたのは評価できる。
 ただ、人口減少、高齢化、産業空洞化といった課題をデジタルの力に頼るだけでなく、地域の要望を丹念に聞いて施策を実行すべきだ。
 衆院選では憲法改正を訴える自民党や日本維新の会などの改憲勢力が国会発議に必要な3分の2議席を維持した。広く国民の議論を喚起していこうと呼び掛けた割には、憲法そのものへの言及が少なかった。改憲の中身や必要性について丁寧な説明を求めたい。
 北朝鮮拉致問題は最重要課題としたが、内容は従来と変わらない。踏み込みが足りなかったのは残念だ。
 国会議員に支給される月額100万円の「文書通信交通滞在費」や18歳以下への10万円相当の給付の在り方も焦点となる。
 立憲民主党は、政策立案型を目指す泉健太代表が就任した。「反対、批判ばかり」とやゆされた対決路線から転換できるか。その姿勢を示さなければならない。