[衆院代表質問] 具体性欠く首相答弁
( 12/9 付 )

 岸田文雄首相の所信表明演説に対する代表質問が衆院で始まった。先の衆院選を経て与野党の国会論戦が本格化した。
 立憲民主党は先月末、新代表に選出された泉健太代表が登壇した。政府の新型コロナ対策や18歳以下の子どもへの10万円相当給付などについて政策提案を交えて追及した。
 だが、首相の答弁は通り一遍の内容で具体性を欠いた。これでは国民の関心は高まるまい。首相は山積する課題に対する自らの考えや方針を明確に示し、活発な議論を促すべきである。
 新型コロナの新変異株オミクロン株は日本を含め50カ国・地域以上で確認され、韓国などでは市中感染が拡大している。泉氏はこれまでの政府対応は後手に回ったと批判、水際対策や3回目のワクチン接種など流行「第6波」への備えをただした。
 これに対し首相は万全の対応を取るとした上で、3回目接種は「できるだけ早期に既存ワクチンのオミクロン株への効果を見極め、優先度に応じて前倒しの範囲などを示す」と答えた。
 感染者が低水準で推移している国内にオミクロン株が入り込むと一気に広がる可能性を指摘する専門家もいる。原稿を棒読みするだけで国民に危機感が伝わっただろうか。
 子どもへの10万円相当の給付のうち、5万円分のクーポン配布に事務費が967億円かかることが判明している。首相は「クーポンは子育て世帯への直接的支援になる」と政策の意義を強調しながら「どのような場合に現金給付できるか、具体的な運用方法を検討する」と述べた。自治体の事情に応じた運用には国の支援が欠かせない。
 国会議員に月額100万円支給される文書通信交通滞在費を巡り、野党側は日割り支給に加えて使途公開など盛り込んだ法案を提出している。自民党などは公開に消極的で、首相は「各会派が考えを持ち寄って議論し合意を得る努力を重ねる必要がある」と述べるにとどめた。
 さらに、現憲法の課題を問われたが「与野党の枠を超えて国会で議論する必要がある」と具体的な発言を避け、北朝鮮による日本人拉致問題も「あらゆるチャンスを捉えて全員の一日も早い帰国を目指す」と従来の見解を繰り返しただけだった。
 泉氏は質問の中で「17項目の政策提案をした」と述べた。今後予定される予算委員会などで前向きな政策論争が展開されることを期待したい。