[沖縄慰霊の日] 不戦の思い 今こそ強く
( 6/24 付 )

 沖縄はきのう「慰霊の日」を迎えた。太平洋戦争末期の沖縄戦で、旧日本軍が組織的戦闘を終えた日とされ、今年で77年となる。
 米軍は沖縄戦以降、住民の土地を強制接収して基地を造り、今なお日本の専用施設面積の約7割を占める。米軍がらみの事件事故は後を絶たない。
 台湾有事を想定した南西諸島防衛やウクライナ情勢を背景に、基地強化の流れも懸念される。今こそ不戦の誓いを新たにしなければならない。
 沖縄戦最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園では、「沖縄全戦没者追悼式」が営まれた。
 国籍や軍民を問わず、戦没者の氏名を刻んだ公園内の石碑「平和の礎(いしじ)」には今年新たに55人が追加され、計24万1686人となった。
 住民を巻き込んだ激しい地上戦で、県民の4人に1人が犠牲になった。戦後、奄美群島とともに米施政権下に置かれ、日本復帰してから沖縄が今年で50年、奄美は来年70年を迎える。体験者が減る中、戦争の惨禍や米統治の歴史を次代へ引き継ぐ努力は欠かせない。
 玉城デニー知事は追悼式の平和宣言で、ロシアのウクライナ侵攻は沖縄戦の記憶を呼び起こすとし、「沖縄を二度と戦場にさせないため、核兵器廃絶、戦争放棄に向け努力を続ける」と強調。住宅密集地にある米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設断念や日米地位協定の見直しなどを求めた。
 岸田文雄首相は「米軍基地負担軽減の目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げる」と述べたものの、基地問題の解決へ具体的な言及がなかったのは残念だ。
 普天間返還は1996年に日米が合意したものの今も実現していない。両政府は沖縄県側と意見の相違を乗り越え、対話を進めてもらいたい。
 一方、奄美を含む南西諸島での米軍の動きは気になる。
 日米両政府は1月の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に、南西諸島にある米軍や自衛隊の施設の共同使用促進を明記した。玉城知事は最近の南西諸島での自衛隊増強を踏まえ、「共同使用が加わると、県民が大きな不安を抱える」と反発した経緯もある。
 鹿児島県内でも先日、与論空港(与論町)や奄美空港(奄美市)に米軍機が着陸。鹿屋市では、海上自衛隊鹿屋航空基地に米軍無人機を配備するため住民説明会が開かれた。活発化する米側の動きを今後も注視しなければならない。
 参院選で各党は安全保障政策や憲法改正などを主な争点に掲げる。それぞれの主張を見極めたい。平和を維持するためには、周辺国と軍事的緊張が高まらないよう外交努力が不可欠だ。