[物価高対策] 成長への道筋問われる
( 6/25 付 )

 食品や電気・ガスなど多くの生活必需品の値上げが続いている。参院選の最大の争点の一つは、物価高騰にどう対応するかという経済対策だ。
 与党側は燃料費などへの補助金を中心に政策を並べ、野党側は消費税の一時減税などで負担の軽減を主張する。
 高まる国民の不満を解消し、暮らしをいかに守るのか。公約実現のための財源論に加え、持続的な賃金上昇につながる成長戦略が問われている。
 新型コロナウイルス禍からの世界的な経済回復や、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギーや農産物の価格が高騰、急激な円安による輸入物価の上昇が追い打ちを掛ける。
 民間調査によると、家計の負担に直結する食品だけで見ても、主要105社が年内に実施したか予定している値上げが6月1日時点で1万品目を突破した。円安傾向の継続で、秋以降も価格改定の動きはさらに続くと見られる。
 5月の消費者物価指数は生鮮食品を除いて前年同月比2.1%上昇。伸び率は約7年ぶりの大きさとなった4月と同じだった。一方、物価上昇の影響を考慮した4月の実質賃金は1.2%減で暮らしへの影響は広がるばかりだ。
 共同通信社が今月実施した全国電話世論調査によると、投票で重視するのは「物価高対策・経済対策」が42.0%とトップだ。各党が公約の軸に据えるのも当然といえよう。
 岸田文雄首相は、ロシアによる「有事の価格高騰」と外因を強調する。自民、公明の与党は燃油価格の激変緩和措置の継続などを通じ、「国民の生活を守り抜く」と訴える。
 政府が公示前日に「物価・賃金・生活総合対策本部」の初会合を開き、電気代や食料品の値上げ対策を打ち出したのも、前向きに取り組む姿勢を強調する狙いがあるのは明らかだ。
 一方の野党は、立憲民主党が「岸田インフレ」と呼ぶなど、政府の対策を批判。立民や日本維新の会、共産、国民民主、社民、れいわ新選組の各党が消費税の減税や廃止をアピールする。
 与党の対策を継続して実施するためには財源が欠かせない。野党の消費税率変更は一定の効果が見込めるものの、減税分をどう賄うのか。いずれも丁寧に説明する必要がある。
 物価高への対症療法は重要だが、価格上昇がいつまで続くかわからない中、それだけではいずれ行き詰まる。
 日本はこの30年ほど実質賃金が上がっていない。このままでは消費は落ち込み、経済は低迷するばかりだ。
 各党の公約に最低賃金の引き上げは見られるが、中小企業も含めたより幅広い賃上げ策は乏しい。成長と分配の好循環につながる中長期的な経済成長への具体策が求められる。