[エネルギー政策] 未来見据えた戦略問う
( 7/7 付 )

 選挙さなかの記録的猛暑だ。1日には全国規模の節電期間が始まった。
 同時に電気料金の値上がりが続く。ロシアのウクライナ侵攻後、液化天然ガスや石炭の国際的な争奪戦が起き、円安要因が拍車を掛ける。
 折しも、日本企業が出資する極東サハリンでの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」が、ロシア政府の支配下に置かれる事態となった。天然ガス輸入に支障が出れば、影響は甚大だ。
 暮らしや企業活動に直結するエネルギーの安定供給を、どう実現していくのか。原子力発電の扱いを含む戦略について、有権者の信を問う時だ。
 2011年の東京電力福島第1原発事故後、電源構成比率は大きく変わった。10年度に25.1%を占めた原発は、20年度には3.9%にとどまった。
 一方、太陽光を中心とする再生可能エネルギーが占める割合は19.8%と、10年度の約2倍になった。
 昨年改定された政府のエネルギー基本計画は、現在主力の火力発電を縮小させ、30年度に再エネを36~38%まで増やし、原発も再稼働の進展を見込んで20~22%とした。
 与野党の政策は再エネ拡大では一致するが、原発については割れている。
 岸田政権は原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける。自民党は「安全が確認された原子力の最大限の活用」を公約に掲げた。
 野党の日本維新の会は、安全確認された原発は「速やかに再稼働」させる方針だ。国民民主党は「40年運転制限制を厳格適用」する。立憲民主党は「原発ゼロ社会を一日も早く実現」と主張。共産党は「即時ゼロ」、れいわ新選組は「即時禁止」、社民党は「速やかに停止」と訴える。
 エネルギー政策の方向性を考える上で、脱炭素と、資源の海外依存を減らす、この2点は大前提だ。そのためには再エネ拡大が不可欠である。
 自民は、再エネの「最大限の導入」を掲げる。脱炭素分野には「今後10年で150兆円超の官民投資」を行う。燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素・アンモニアの商用化につながる技術開発に向けた支援措置新設に言及する。
 立民は30年までに省エネ・再エネに200兆円を投入し、50年には再エネによる発電割合100%、化石燃料にも原発にも依存しない温室効果ガス排出実質ゼロの達成を目指す。
 エネルギー政策は、多くの難題の同時解決が必要だ。石炭火力への依存をどこまで続けるのか。ひとたび事故が起きれば多大な犠牲を強いる原発の利用拡大を進めていいのか。
 さまざまな課題から逃げず、道筋を示すのが未来に対する政治家の責任である。