[桜島レベル5] 警戒しつつ冷静対応を
( 7/27 付 )

 鹿児島市の桜島の噴火警戒レベルが3(入山規制)から最も高い5(避難)に引き上げられた。桜島のレベル5適用は初めてで、市は3キロ圏内の33世帯51人に避難指示を出した。
 決め手となったのは、噴火の規模よりも、噴石の飛距離が基準の2.4キロをわずかに上回ったことだ。鹿児島地方気象台は、火山灰の噴出量などから「大規模噴火は現段階で想定していない」とする。
 適用基準を満たしているためレベルは引き上げざるを得ない。とはいえ、住民生活や観光業への影響は少なくない。市などは十分に警戒しながら、冷静な情報発信に努める必要がある。
 爆発は24日午後8時5分ごろで、大きな噴石が南岳山頂火口から東に約2.5キロ飛んだ。2キロを超えて飛散したのは2020年6月以来となる。
 桜島では18日ごろから山体膨張を示すとみられる地殻変動が観測され、爆発や噴火が続いている。気象台は大きな噴石に厳重な警戒を呼びかけた。同火口と昭和火口から2キロ圏内では火砕流が発生する可能性もある。
 鹿児島市は有村町、古里町の一部に避難指示を出したが、レベル引き上げから1時間半後だった。「もっと早く出せなかったか」との指摘もある。内部でどのような議論があったのか。検証が必要だろう。
 突然の引き上げに戸惑う住民も多かったようだ。「レベル3からいきなり5とは」「噴火の音は聞こえなかった」といった声のほか、レベル引き上げ後、住民向けの情報が少なかったとの不満も聞かれた。また、「大規模噴火ではないのに避難と言われても、住民には分かりにくい面がある」と話す専門家もいる。
 レベル上げの基準や避難について、住民に納得してもらえるよう普段から説明を続けておくことが欠かせない。
 噴火を正確に予測するのは極めて難しい。先日は気象庁の判断に対して厳しい判決が出た。
 御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火を巡り、犠牲者の遺族らが国などに損害賠償を求めた訴訟で、気象庁は火山性地震に加え、山体膨張の可能性が指摘されていたにもかかわらず、最も低いレベルのまま変更しなかったことを「違法」と認定された。
 今回の桜島のように、大規模噴火の予兆は見られない中、噴石の飛散距離だけでは緊急の避難が必要かどうか判断が難しい局面もあるかもしれない。基準が実態に即しているか議論することも必要ではないか。
 桜島は1914年の大正噴火で58人の死者を出し、70~80年代は今回と同様の爆発が度々あった。油断は禁物で、防災対策を絶えず点検することも大切だ。研究者の知見を取り入れつつ、あらゆる事態に備えておくべきである。