[離婚後の親権] 子の利益第一に考慮を
( 8/4 付 )

 離婚後の子の養育を巡り、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が、父母双方の「共同親権」に道を開く案を盛り込んだ親権制度見直し案のたたき台を示した。
 8月中にも民法改正の中間試案をまとめた上で意見を公募し、答申を目指す。
 離婚が特別なことではなくなっている昨今、共同親権の導入を求める声がある一方で、反対意見も根強い。集約は容易ではないが、子の最善の利益を第一に、議論を深めてもらいたい。
 親権は、未成年の子について、親が身の回りの世話や教育をする権利と義務、と民法に定められている。
 日本の現行民法下では、婚姻中は父母双方が共同で親権を持つが、離婚後は「単独親権」を採用し、父母のどちらか一方しか持つことはできない。子に関する決定がしやすい半面、親権のない親は面会も十分できず、子育てに関わるのが難しい側面がある。
 人口動態統計によると、2020年の婚姻件数は53万組。離婚は19万組で、うち11万組に未成年の子がいた。
 近年、単独親権は、法の下の平等や幸福追求権を定めた憲法に反するとして、離婚後に親権を失った親らが国に損害賠償を求める訴訟を相次ぎ起こした。
 また海外主要国の多くは共同親権を認めているため、国際結婚が破綻したケースで国境をまたぐ親権トラブルが外交問題にもなっている。
 こうした現状を受け、法制審は昨年春から共同親権導入の是非を話し合ってきた。
 示されたたたき台には、主に(1)共同と単独を選択できる(2)現行の単独のみとする-の2案がある。さらに(1)は共同、単独のどちらを原則、どちらを例外と位置づけるかで分けた。
 そのほか、さまざまな論点で枝分かれする計10近い案を並べた。併記案の異例の多さは、国民の中で割れる賛否を反映した結果と言える。
 共同親権は、子育てに両親ともに責任を持つことで経済的にも安定し、子の利益につながると考えられる。
 だが虐待など問題を抱えているケースでは、被害が続く懸念が残る。ひとり親対象の意識調査では、共同親権が導入されても「選択しない」の回答が、「どちらかというと」を含め8割を占めた。
 離婚にはそれぞれに個別の事情があることを考えれば、共同親権も選べる制度が望ましいのではないか。自治体が離婚届を受け付ける際、養育費支払いや面会交流について父母が合意しているかをチェックし、助言をするサポート体制も欠かせない。
 子どもの声をくみ取る方策も必要だろう。進学や夢の実現が阻まれないよう、行政の関与を求めたい。