[部活の地域移行] 格差抑える改革探ろう
( 8/10 付 )

 公立中学校の運動部活動が大きな転機を迎えている。スポーツ庁の有識者会議が6月、休日の活動を地域のスポーツクラブや民間業者などに委ねるべきだとする「地域移行」を提言した。
 山間部や離島を除き、2023年度から3年間を「改革集中期間」に位置付け、将来は平日にも広げる考えだ。
 しかし、指導者の確保など課題は山積みだ。地域の事情や家庭の経済状況により、生徒が受けられる指導に格差が生じる懸念もある。国や自治体、学校は、改革に伴う格差を可能な限り抑える道筋を探らなければならない。
 地域移行の背景にあるのは少子化の進行と、教員の長時間労働の解消だ。
 部員減少で日頃の練習もままならず、単独で団体競技のチームを組めない学校が増える中、生徒がスポーツに親しむ機会を確保する狙いがある。
 教員の負担も重い。放課後に加えて休日も指導や引率に当たることが、長時間労働の一因と指摘される。未経験の競技の顧問を担わされることもあり、悩みを深めるケースも少なくない。
 学校単位で運営し、教員の熱意や犠牲に頼る部活動を、現状のまま維持するのは困難だ。地域に受け皿を求めた提言は広く理解を得られるだろう。
 ただスポーツクラブなどの委託先で活動するか、学校で外部人材に専門的な指導を受けるかという提言を、鹿児島県内の全ての地域で実現するのは容易ではない。過疎地では拠点や人材の不足が予想され、公共交通が縮小する地域では送迎も課題となるためだ。
 県内で対応に動き出したのが薩摩川内市である。市独自の「外部指導者バンク」を新設し、指導希望者を一元リスト化して地域へのスムーズな移行を図る。事故対応や生徒への暴力などがないよう指導の質を保つ研修も行う。
 休日の指導を希望する教員もいるはずだ。許可を得て地域部活動の運営主体の下で従事する「兼職兼業」が認められており、活用してもらいたい。うやむやな形で教員に押しつけることがないよう、運用には注意が必要だ。
 外部委託の場合、謝礼や会費が生じ、家庭の負担が増える可能性がある。民間団体の運営では、指導や保険の費用が従来より1人当たり年間約1万7000円高くなるとの試算もある。
 外部指導者は十分な報酬がなければ長続きできないだろう。経済的理由で生徒が部活動をやめる事態も避けたい。困窮する家庭の支援は不可欠だ。自治体だけで支えるのは難しく、国には財源を確保する責任がある。
 部活動が学校外に門戸を開くことは、地域スポーツ全体の発展につながる可能性がある。一方、生徒指導への影響を不安視する声も聞かれる。保護者や住民、当事者の中学生を交えて丁寧な議論を重ね、それぞれの地域にふさわしい枠組みを整える必要があろう。