[技能実習制度] 見直しは待ったなしだ
( 8/13 付 )

 外国人技能実習制度は、長時間労働や賃金不払いといった受け入れ先での問題が後を絶たない。
 厚生労働省の調査によると、2021年に実習生が働く9036事業所の7割以上で、資格なしでフォークリフトを運転させたり、月100時間を超える残業をさせたりした法令違反があった。
 政府は受け入れ先の監督・指導を強化するなどしてきたが、目立った改善は見られない。制度の抜本的な見直しを行う必要がある。
 制度は1993年、企業などで外国人を受け入れ、習得した技術や知識を母国の発展に生かしてもらう目的で創設された。建設業や食品製造業、農業など対象職種の実習先で、最長5年働くことができる。2021年末時点で国内に約27万6000人の実習生がいる。
 実態は安価な労働力として確保しているに過ぎないとの批判や、国際貢献の理念とかけ離れているとの指摘がある。実習先での暴行被害といった問題も報告されている。
 出入国在留管理庁の調査では、来日のため借金をした実習生は5割超に上る。実習生らを支援するNPO法人によると、家族が家や土地を担保に借金し、実習生は返済まで帰国できない。
 このため労働環境が劣悪であっても声を上げにくく、技能習得の建前から転職の自由は認められていない。家族の呼び寄せはできず、昨年は受け入れ先から7000人余りが失踪した。勤務先や受け入れを仲介した監理団体と信頼関係が築けないなどの事情もあるようだ。
 米国務省は先月、世界各国の人身売買に関する報告書を発表した。実習生が「強制労働」させられているとし、人身売買に関与した悪質な業者や雇用主の責任を日本政府が追及していないと批判した。政府は重く受け止めなければならない。
 鹿児島労働局によると、県内の外国人労働者数は21年10月末時点で8880人と届け出を義務化した07年以降で最多。うち技能実習生は6割を超す。
 世界的に人材獲得競争は激しくなっている。少子化が進み今後も労働力が不足していく日本で、外国人人材の確保は待ったなしだ。
 19年4月には外国人労働者の受け入れを拡大する特定技能制度が導入された。実習制度を技能制度に一本化する案もあり、政府は年内にも有識者会議を設け議論を始める。専門家は「定住も見据え、中長期的な視点での検討が必要」と要望する。
 外国人を労働力としてだけでなく、社会の一員としてきちんと処遇する方策を探らなければならない。人権を守り、転職や家族帯同、定住をしやすくするなど共生を見据えた仕組みを目指すべきである。