[九州農業情勢] 気候変動対策に支援を
( 8/17 付 )

 九州農政局は農業情勢をまとめた2022年版「見たい!知りたい!九州農業」を公表した。
 今年のテーマとして「気候変動への対応」を紹介。気温の上昇傾向による農作物の品質低下や収量減のほか、大雨被害が頻発していると指摘した。
 品種改良など短中期的な対応とともに、長期的な適応策として作物の転換を始めた産地もある。国には地域の実情に沿った支援を求めたい。
 気温上昇のためコメが白く濁るなど品質低下がみられる。対策として7~8月に田んぼの水を抜いて土を乾かすことでメタンガスの発生を抑える方法を説明した。
 環境への負荷を減らすには、地域で調達できる堆肥の利用拡大が有効と言及。熊本県のJA菊池が畜産農家から集めた堆肥を保管しやすいペレット状に加工し販売している例を報告した。
 気候変動で農作物が受けている影響について共同通信は5~7月、全47都道府県を対象に調査。「分からない」とした東京都以外の46道府県が、そうした農作物は「ある」と回答した。
 最も多かった品目はコメ(43道府県)で、続いてブドウ(31道府県)、ナシ(28府県)だった。鹿児島県はコメ、ミカン、ブドウ、ナシ、キノコ・シイタケに加え、野菜は品目ごとではなく「全般」とした。
 国内各地の農作物は軒並み気候変動の影響を受けており、食卓を脅かし始めていると言ってもいい。今年は6月下旬から暑さが続いている。こうした気象が続けばさらに深刻化する恐れもあるだろう。高温に強い品種の開発など技術、財政両面での対策が必要だ。
 九州からの農林水産物・食品の21年輸出額が、前年比34.4%増の1208億円で過去最高になったことも盛り込んだ。
 コロナ禍から回復しつつある米国や中国向けの輸出が増えた。特に畜産品は58.5%の大幅増だった。鹿児島県によると、21年度の畜産物輸出額は前年度比17%増の123億4800万円と好調で、特に主力の牛肉がけん引した。県産和牛のブランド確立などで一層の輸出増につなげたい。
 「九州農業」は輸出促進事例として、独自の長期貯蔵技術でサツマイモを通年輸出しているジャパンポテト(鹿屋市)を取り上げた。農家と連携してアジア各国に冷蔵輸送し、輸出額を年々伸ばす。
 女性活躍では、澤田農園(出水市)の澤田たみ子さんを紹介した。コメの有機栽培に取り組み、餅や米粉といった加工食品の製造・販売も行う。
 国内市場が縮小し、食料の安定的な供給も課題となる中、こうした好例が県内にあるのは心強い。意欲的な取り組みには国や県、市町村の後押しも不可欠だ。