[東京五輪汚職] 疑惑底なし 徹底解明を
( 9/7 付 )

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、さらなる疑惑が浮上した。
 東京地検特捜部は、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者を紳士服大手からの受託収賄罪で起訴したのに加え、新たに出版大手からの受託収賄容疑で再逮捕した。
 5日には広告会社を家宅捜索しており、元理事による仲介疑惑は底なしの様相を見せる。特捜部は資金提供の流れなど徹底解明してほしい。
 疑惑の一つが再逮捕の容疑である、スポンサー企業の出版大手KADOKAWA側からの資金提供だ。元理事の知人が代表のコンサルタント会社「コモンズ2」に計7600万円を提供していたとされる。
 コモンズ2の代表は広告大手電通のOBで、元理事の後輩に当たる。KADOKAWAをスポンサーに後押しするよう元理事に依頼。提供された資金は元理事が組織委に働きかけた見返りとして支払われた賄賂の疑いがあると特捜部はみている。
 KADOKAWAの2人も贈賄容疑で逮捕された。同社の角川歴彦会長は5日の取材に、資金提供はスポーツ全体のコンサル料とした上で「(賄賂の認識は)全くない」と説明していた。資金提供の趣旨や、コモンズ2からの金の流れが今後の捜査の焦点になる。
 もう一つの新たな疑惑は広告会社「大広」からの不透明な資金提供である。大広はスポンサーに選定されたサービス関連企業の窓口になる「販売協力代理店」だった。元理事が組織委側に大広を代理店として使うよう依頼したとされ、大広からコモンズ2に提供された多額の資金のうち1000万円超が賄賂だった可能性がある。
 元理事が代表を務めるコンサル会社「コモンズ」が、きのう前会長らが贈賄罪で起訴された紳士服大手AOKIホールディングス(HD)からの、さらにコモンズ2はKADOKAWAと大広からの資金提供の受け皿だった構図が見えてくる。こうしたコンサル会社が隠れみのになっていなかったか。実態解明も捜査のポイントになろう。
 もう一点は、元理事がスポンサー選定にどう関与したかである。元理事は賄賂性を否定しているが、提供された多額の資金が職務に関する賄賂と立証できるかどうかも鍵を握る。
 元理事が、組織委会長を務めていた森喜朗元首相をAOKIHD前会長に紹介したことも判明。便宜供与に当たる可能性があるとみて特捜部は捜査している。
 電通は組織委と専任代理店契約を締結し、大会スポンサーの募集を一任され、電通の提案を受けた組織委マーケティング局が事実上、スポンサーを選定した。大会に巨額の公費を投入した国と東京都を中心に、不透明な選定過程を検証し、明らかにすべきである。