[沖縄県知事再選] 政府への不信の表れだ
( 9/13 付 )

 沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する無所属現職、玉城デニー氏が、移設容認の佐喜間淳・元宜野湾市長らを破って再選を果たした。
 政府による辺野古沿岸部での土砂投入工事が進む中、各野党の推薦を受けた玉城氏が、政権与党の自民、公明両党が推薦する佐喜間氏に得票率で10ポイント近い差をつけた。「移設ノー」の県民の声を政府は重く受け止めるべきだ。
 佐喜間氏は初挑戦した2018年9月の前回知事選では、移設賛否を打ち出していない。今回、「現実的な方策」と容認を鮮明にした背景には、さまざまな状況変化があったとされる。
 一つには前回知事選の2カ月半後、国は辺野古沿岸の埋め立てを始め、もはや後戻りできない、と既成事実化が進んでいることがある。
 また年明けから続いた沖縄県内の4市長選では、移設反対の「オール沖縄」が推す候補に、岸田政権の支援する候補が連勝。夏の参院選はオール沖縄側が自民党新人を制したが、わずか3000票弱の僅差だった。
 こういったことから、安全保障環境の厳しさが県民意識を変化させている、との読みが佐喜間氏に生じたに違いない。
 だが、結果として誤算だったと言える。
 共同通信社の出口調査では、投票で重視した政策にまず「経済の活性化」が挙がり、基地問題を上回った。観光関連産業などへの手厚い支援策を示した佐喜間氏に有利な面もあったはずだ。それだけに玉城氏が再選された意味は大きい。
 選挙のたびに「基地反対か、経済振興か」の選択を迫る政府への反発も、あったのではないか。
 来年度予算の概算要求で、沖縄振興費を前年度比約200億円も減らす露骨な締め付けをする政府に対する不信感の表れでもあろう。
 そこへ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題も浮上、佐喜間氏は関連団体の会合への参加を認めており、投票行動に影響したとみられる。
 沖縄では、移設反対を掲げた翁長雄志氏が14年に知事に初当選し、翁長氏の急死に伴う18年の知事選でも反対を訴えた玉城氏が勝利した。19年の県民投票では反対が7割超を占めた。反対の民意は、今回で4度目だ。
 辺野古移設を巡っては、埋め立て予定海域に見つかった軟弱地盤の改良に向けた防衛省の設計変更を玉城氏が不承認とし、法廷闘争となっている。これ以上、国と県の対立を深刻化すべきではない。
 人口密集地に位置する普天間の危険性を取り除くため何ができるか。政府には「辺野古移設が唯一の解決策」という思考停止からの脱却を求めたい。