[15歳の凶行] 再犯予防へ議論重ねて
( 9/17 付 )

 福岡市の商業施設で客の女性が通り魔的な凶行で命を落とし、鹿児島県出身の当時15歳の少年が容疑者として逮捕された事件から、約2年がたつ。
 殺人罪などに問われた少年の裁判員裁判で、福岡地裁は求刑通り懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡した。弁護側、検察側とも控訴せず、判決が確定した。
 保護・教育と犯罪対策という矛盾しかねない要請に基づく少年法のもと、“厳罰”が下された意味は重い。
 再犯を防ぐには、どんな取り組みが必要か。次の悲劇を生まないため、議論を重ねたい。
 2001年施行の改正少年法で刑罰対象が16歳から14歳に下げられたが、14、15歳が家庭裁判所から検察官送致(逆送)・起訴となるのはまれだ。今回の裁判は、そのケースとして注目が集まった。
 法廷で明かされた少年の生い立ちは複雑だ。家庭内で虐待を受け、学校でも孤立していた。児童福祉施設や病院を転々とし、その間に両親が離婚。少年院を仮退院する際、親権を持つ母親に受け入れを拒まれ、福岡の更生保護施設に移った直後の犯行だった。
 弁護側は医療(第3種)少年院での治療を受けさせるべきだとして家裁移送を求めた。だが判決は犯行の凶悪さから「成育歴を理由にした保護処分は社会的に許容し難い」と結論づけた。
 少年に無期懲役ではなく、有期の懲役や禁錮の刑を科すべきと判断した時には、最長15年以下で刑期に幅を持たせる「不定期刑」が言い渡される。成人より可塑性(改善可能性)が高い少年の更生状況を反映させるためだ。
 今回の量刑は、不定期刑上限の最高刑だった。ただ遺族は「一生、刑務所に入っていてほしい」と述べていた。
 鹿児島大学大学院の宇都宮敦浩教授(臨床心理学)は、遺族や社会一般の処罰感情も踏まえた難しい判断を迫られた判決だったとした上で、低年齢少年に対する一律厳罰化への偏向を懸念する。「少年犯罪を一切許さず、処罰すべきという世の中の雰囲気が強まるのは怖い」との危機感は共有しておきたい。
 判決は、刑務所で社会のルールを身に付け、信頼できる人間関係を構築できれば、少年の更生も全く不可能なわけではない、とした。教育、医療の知見を生かした処遇が必要だろう。
 同時に、再び社会の一員に迎える時の支援態勢もおろそかにすべきではない。「(関係機関が)少年の特性など情報を共有していれば、事件は防げたかもしれない」と疑問視する被害者遺族の声を、教訓にしてほしい。
 被告の少年の再犯予防や、新たな少年犯罪を引き起こさないための試みは安心・安全な地域づくりにつながる。各方面でできることを模索したい。