[入管施設で死亡] 待遇の見直し急ぎたい
( 9/18 付 )

 東日本入国管理センターに収容中のカメルーン人男性が死亡し、母親が国に損害賠償を求めた訴訟で、水戸地裁は入管側の注意義務違反を認めた。
 入管施設では人命軽視とも受け取れるような対応が続発しており、異常と言わざるを得ない。国は判決を重く受け止めて問題点を検証し、再発防止と待遇改善に取り組むべきである。
 判決によると、男性は2013年10月、成田空港で入国を拒否され、東日本入管に収容。糖尿病などを患い、14年3月27日に監視カメラのある休養室へ移された。
 同29日にうめき声を上げたり、胸の痛みを訴えたりして立てなくなったが、職員は床に寝かせたままにした。30日朝、心肺停止状態になっているのを職員が発見、病院に救急搬送したが死亡が確認された。
 原告は、入管が救急搬送せず放置したのは違法だったと主張。国側は責任を否定し、「職員には医学的知識がなく、救急搬送するべきか判断できなかった」「搬送したとしても助かったとは限らない」と反論していた。
 判決は、男性が収容中で移動の自由がなかったことから、入管は適切な医療上の措置を取る必要があったと指摘。死亡前日に胸の痛みを訴えた際に、直ちに搬送しなかった対応に過失があったと認め「適切な措置をしていれば生存した可能性もある」とした。死亡との因果関係は認めなかった。
 訴訟では入管の意識の低さが明らかになった。苦しそうにしていた男性が心肺停止状態になるまで手当てをしていない。収容者の異常を感じたら救急搬送するのは当然ではないか。
 今回の事例から7年後、名古屋入管でスリランカ人女性が死亡した。この際も、職員は体調に異変があることを認識しながら、すぐに救急搬送しなかった。女性の遺族は、違法な収容を続け必要な医療を提供しなかったとして、国に損害賠償を求め係争中だ。
 カメルーン人男性の死亡を受け、法務省がまとめた報告書は、常勤医の確保や収容者の容体に応じて臨機応変な対応ができる体制づくりの必要性を提言していた。教訓が生かせなかったことを猛省してもらいたい。
 入管難民法に基づく処遇規則では、収容者が病気やけがをした際には、医師の診療を受けさせるなど適切な措置を講じることが義務付けられている。
 収容者の中には仮放免許可を得る目的で仮病を使う人もいるとされ、職員は体調不良の訴えに鈍感になっているとの指摘もある。不法滞在を理由に命を軽んじてはいないか。職員の意識改革が求められる。
 常勤医がいない施設があるにもかかわらず、病人も収容してしまうシステム的な問題もあろう。組織の見直しにも取り組まなければならない。