[JAC共同運航] 観光振興へ次の一手を
( 9/24 付 )

 日本エアコミューター(JAC、霧島市)など九州を拠点とする地域航空3社と全日本空輸、日本航空の計5社は、来月から共同運航を始める。
 販路を広げて路線の維持を図ることが目的で、航空大手の系列を越えた運航は国内で初めてとなる。
 奄美などの離島を結ぶJAC便は住民に欠かせない生活路線だ。安定的な運航を確保するとともに、観光振興にも生かさなければならない。
 日航系のJACと天草エアライン(熊本県天草市)は全日空と、全日空系のオリエンタルエアブリッジ(長崎県大村市)は日航と共同運航する。
 利用者は現在、それぞれのサイトで航空券を購入する必要がある。共同運航になると系列に関係なく一括して予約できるようになる。利便性は格段に増し、観光客の増加にも弾みがつくはずだ。
 共同運航に踏み切った背景には路線維持への危機感があった。
 地域航空は1社だけが就航する地方路線が多く、公共交通機関としての役割も持つ。航空大手や地元自治体の出資、国庫補助を受けているとはいえ、人口減少により経営は厳しく、需要は将来も縮小が見込まれる。保有する機材が少ないため故障や定期点検で欠航が発生しやすく、パイロットや整備士の確保、養成も課題だ。
 国土交通省は2016年、地域航空各社の経営改善に向けた有識者会議を設立。18年、同会議は大手の系列を越えた合併や経営統合を提言した。それを受けて5社は19年、事業組合を設立し、経営効率化を目指し協議を続けてきた。
 安全確保や路線維持、営業強化といった点で一緒に取り組めば、地域の利益につながるだろう。今後も住民の立場で生活の足を守る責務を果たさなければならない。
 心配なのは新型コロナ禍が航空業界を直撃していることだ。大手2社はともに21年3月期連結決算で巨額赤字を計上した。22年3月期の純損益も額は縮小したとはいえ両社いずれも赤字だった。
 そのため共同運航の取り組みを路線維持だけではなく、新たな需要開拓につなげることが重要となろう。
 JACは世界自然遺産の屋久島、奄美大島、徳之島へ向かう屈指の路線を持つ。他の路線も観光資源には事欠かない。全日空のマイレージポイントもためられるようになり、国内外に3000万人以上いるマイレージ会員にJAC路線をアピールできそうだ。
 観光や交流人口の拡大に向けて、航空各社と地元自治体や民間団体が一緒になってアイデアを出すことが大切だ。連携して新たな旅行商品や観光開発に加えて新規路線の開拓も進め、世界中からの誘客に努めてもらいたい。