[森林環境譲与税] 有効な使い道に知恵を
( 9/27 付 )

 国は全国の都道府県と市町村に、2019年度から「森林環境譲与税」を配分している。気候変動対策の一環で、自治体が実施する森林整備関連の事業を促す狙いがある。
 5年間は暫定財源を充て、24年度からは、個人住民税に1人年間千円を上乗せして徴収する新税の収入を安定的な原資にしていく方針だ。年間約600億円を見込む。
 だが市区町村に配られた初年度と翌20年度の計500億円のうち5割超が基金に積まれていた。有効活用されなければ、新税への理解は得られまい。自治体は知恵を絞り、国には積極的な利用を後押しするよう求めたい。
 各自治体への配分額は、(1)私有の人工林面積(2)林業就業者数(3)人口-の3基準を按分して決まる。
 人口を入れたのは、大消費地で公共施設の木造化などを促し、木材価格の下落を防ぐ狙いがあった。結果、都市部に手厚くなる傾向が強まった。
 20年度の市区町村別の配分額最多は横浜市の約3億円だ。19年度との合計約4億4000万円を全額基金に蓄積し、21年度以降、学校建て替え時などの木材利用に充てていくという。
 一方、受け取り額の最少は沖縄県渡名喜村の3万6000円で、19年度との合計でも5万2000円しかなかった。当分の間、積み立てるとしている。
 森林活用を議論する自民党プロジェクトチームは今年6月、森林環境譲与税の山間地域への強化を求める提言を総務相や農林水産相に提出した。
 今後の使われ方を検証しつつ、変更を加える必要があるのではないか。都市部の全体の予算規模に比べれば配分額は微々たるもので、需要喚起につながるのか疑問を呈する専門家もいる。
 鹿児島県内の市町村には20年度で総額約7億5000万円が配られ、うち2億5000万円が支出された。6割超は基金に回った。最多1億円余りを受け取った鹿児島市は、約9000万円を基金に積んだ。
 各自治体はホームページなどで使途を公表することが課せられている。県内の活用事例を見ると、林業に精通した人材をアドバイザーに雇ったり、森林所有者に今後の管理の意向調査をしたりしている。下草刈り、造林への賃金上乗せのケースもあった。
 林業専門職が圧倒的に少ない現状や、過酷な山仕事の人不足を改善する取り組みにつながるよう期待したい。
 一方で、配分された全額を基金に積んだ市も複数ある。ただ県森林経営課による市町村への聞き取りでは、21年度以降、全体的に基金に積む割合が減り、活用の枠が広がりつつあるという。好事例を競い合ってほしい。
 地球温暖化や災害の防止に森林が果たす役割を認め、創設された制度である。周知と実行を急がねばならない。