[日中国交50年] 原点に戻り信頼構築を
( 9/29 付 )

 日本と中国が国交を正常化して、きょうで50年の節目を迎えた。
 日中共同声明を通じて「平和」と「友好」を目指した両国だが、近年は対立と相互不信に直面し、関係は冷え込んでいる。
 一方で経済的な結びつきは依然強く、日本にとって中国は最大の貿易相手国である。中国の国内総生産(GDP)は米国に次ぐ世界2位で、巨大な隣国との共存は欠かせない。
 両国は国交正常化時の原点に立ち返るべきだ。首脳同士が対話を重ね、時代に即した新たな信頼関係の構築に努力してもらいたい。
 1972年9月、当時の田中角栄首相が訪中し、中国の周恩来首相と交渉して共同宣言を取りまとめた。
 歴史認識では、日本が戦争で中国に重大な損害を与えたとして「責任を痛感し、深く反省する」と記述した。中国側は日本への戦争賠償請求を放棄すると宣言。78年には日中平和友好条約も結ばれた。
 だが、正常化40年の2012年9月に日本が沖縄県尖閣諸島を国有化したことを巡り、関係は悪化。その後、中国の覇権主義的な行動はエスカレートし、台湾を巡る米中対立など、東・南シナ海情勢の緊張も高まっている。正常化50年をともに祝うムードからは程遠いと言わざるを得ない。
 日本世論調査会が8~9月に実施した世論調査によると、現在の日中関係が「良好だとは思わない」の回答が7割を超えた。今後の関係が「悪くなる」と答えた人は「どちらかといえば」を含めて計89%に上る。
 急速に軍事力を増大させ、周辺に圧力を強める現状や少数民族への人権侵害などに日本国民が脅威や憂慮を感じている表れだろう。経済安全保障の観点からサプライチェーン(供給網)を見直す動きも生じている。
 注目したいのは、日中首脳会談について「必要」「どちらかといえば必要」とした人が計80%を占めたことだ。
 岸田文雄首相は昨年10月の就任後、バイデン米大統領とは対面や電話での意思疎通を図っているが、中国の習近平国家主席とは10月に電話会談を行っただけだ。隣国として正常な状態とはいえまい。現状が懸念されるからこそ、国民は対話による信頼の醸成が重要だと感じているのではないか。
 習氏は8月、新型コロナウイルスに感染した岸田首相に見舞いの電報を送付。国交正常化50周年にも触れ、「新時代の求めに合う中日関係の構築を一緒に推し進めたい」と呼びかけた。3期目続投が確実視される共産党大会を10月に控え、日本との関係を安定させたい意向もうかがえる。
 早期の首脳会談だけではない。政官民の重層的な交流で、粘り強く諸課題の解決を模索することが求められる。