[県体育館容認へ] 市と協議尽くすべきだ
( 9/30 付 )

 鹿児島県議会の総合政策建設委員会は、鹿児島市のドルフィンポート跡地に新総合体育館を整備する県の計画に反対する陳情を不採択とした。
 来月の最終本会議でも同様の判断になるとみられ、県議会は体育館計画を容認する見通しとなった。
 同跡地への体育館建設は賛否が割れている上、鹿児島市はサッカー等スタジアムの候補地の一つに挙げている。一帯をどうデザインしていくのか。県と市は街づくりの視点から議論を尽くさなければならない。
 現体育館は築後60年以上たち老朽化が進んでいる。県は2009年から新体育館の建設に向けて議論を始めた。場所を巡って二転三転してきたが、県は今年3月、ドルフィンポート跡地に整備するとの基本構想を策定した。
 跡地は海沿いで桜島を眼前に望み、中心市街地にも近い。体育館を待望する声がある一方で、観光拠点などへの見直しを求める意見も根強い。
 塩田康一知事は15日の県議会で「県民から一定の理解を頂いている」と述べ、計画を着実に進める考えを示した。だが、多くの反対陳情が出てくること自体、計画への不満が根強い証しだろう。
 県や県議会はこうした県民の声にも丁寧に応えていくべきである。
 県も鹿児島市も、跡地を活用してにぎわい創出を目指すという理念は共通している。とはいえ、これまでの両者の進め方はちぐはぐ感が拭えない。
 鹿児島市の検討協議会がスタジアム候補地にドルフィンポート跡地など鹿児島港本港区の3カ所を挙げたのは19年1月だった。市は、近くまとまる需要予測調査の中間報告を基に選定に入る予定で、その後、県との協議に入る方針だ。
 鹿児島市がスタジアム整備を街づくりの核に位置付けるにもかかわらず、市の中間報告がまとまる前に県議会委員会が計画反対の陳情を不採択としたのは、決着を急いだとしか言いようがない。
 県や市、両議会が話し合いを重ね、一致点を見いだすのが本来の在るべき姿ではないか。
 海岸線の活用についてはこれまで曲折が続いてきた。
 跡地と同じ本港区エリアにある北埠頭(ふとう)は、奄美・沖縄航路の発着港を目指したものの、安全上の問題などで同航路には使われていない。
 マリンポートは国際会議場やマリーナなどを計画していたが、大事業への反発が起こり緑地空間へ見直された。
 南北に長い鹿児島市の海岸で、市街地に近く親水性に富む憩いの場所は残り少ない。ドルフィンポート跡という屈指の土地をどう生かすのか。県と市は長期的で大局的な観点から考えてもらいたい。