[和牛五輪] 「畜産県」の底力に期待
( 10/1 付 )

 全国和牛能力共進会(全共)が6~10日、霧島市牧園と南九州市知覧で開かれる。
 5年に1度、各地の優秀な和牛を一堂に集めて種牛(繁殖)と肉牛(肥育)の改良成果を競う場で、「和牛オリンピック」とも称される。第12回の今大会は、過去最多の41道府県から、よりすぐりの約440頭が全9区の部門に出品される。
 鹿児島は予選を勝ち抜いた24頭がそろい、団体優勝した前回の宮城大会に並ぶ「日本一」を目指す。地元開催は1970年以来52年ぶり。「畜産県」の底力を見せる格好の機会になるだろう。県民が寄せる期待は大きい。
 全共には毎回、テーマがある。「和牛新時代 地域かがやく和牛力」を掲げる今回、「新たな枝肉の価値観の醸成を目指す」と位置づけた部門「脂肪の質評価群」が新たに加わった。
 脂肪交雑(サシ)の量だけでなく、肉のうま味や風味を増し、おいしさを左右するとされる「脂肪の質」の高さが求められる。現場の取り組みは始まったばかり。大会を通じて課題を確認し、新時代の消費者ニーズに合う改良方法を前進させる契機にしてほしい。
 また、前回大会で震災復興特別区として設けられた「高校の部」が、特別区「高校および農業大学校の部」として存続が決まった。高校や農業大学校で育てられた若雌が出品される。鹿児島からは曽於高校が挑む。
 大会を主催する全国和牛登録協会の関係者は「牛づくりは人づくり。全共が若手にとって一つの目標になったらうれしい」と述べている。担い手育成が大事なことは言をまたない。産地間競争だけにこだわらず、全共が育成技術の継承の場になるよう望みたい。
 いま、畜産農家は多くの課題を抱えている。ウクライナ危機や円安により、原料を輸入に頼る配合飼料価格が高騰。肥育農家が先行きへの不安感を強め、子牛価格の急落を招いている。温暖化や、し尿処理をはじめとする環境問題への対応も迫られる。
 だからこそ、今大会テーマの「地域かがやく和牛力」の発揮が必要となる。農家の手に余る難題も、行政、JAをはじめ和牛づくりに関わるさまざまな立場から支え、解決を図っていかなければならない。
 消費の面からも力になれる。全共開催地の霧島市では、市と企業が連携して学校給食に鹿児島黒牛のサーロインステーキを提供するイベントがあった。これを機に、県内各地で定期的に実施できないだろうか。
 九州経済研究所は会期中の来場者約29万人、経済効果43億円余りと試算する。新型コロナの影響でいずれも過去2大会を下回るのは残念だが、かごしまブランドの周知効果は大きい。地元消費の機運も盛り上げていきたい。