[米中間選挙] 内政の混乱を懸念する
( 11/11 付 )

 バイデン米大統領の2年間の実績を問う中間選挙の投開票が行われた。下院は野党共和党が優勢、上院は接戦が続いており、大勢判明には時間がかかる見通しだ。
 記録的なインフレやバイデン氏の不人気から、選挙前は共和党の大勝が予想されていた。だが、政治的な反対意見を暴力で封じようとする風潮への危機感などが与党民主党の善戦につながった。
 とはいえ、上下どちらかでも共和党が多数派になれば、政権とのねじれが生じ、任期後半のかじ取りは難しくなる。国内の分断や、内政の混乱による内向き志向の加速を懸念する。
 中間選挙では定数100の上院で補選を含む35議席が改選対象、下院は全435議席で争われた。
 日本時間10日午後現在、上院は非改選を合わせた議席数が共和49、民主48と拮抗(きっこう)。残る州の一つジョージア州では過半数票を得た候補がおらず、12月に決選投票を行うことが決まった。下院は共和党が200議席を超えて多数派奪還に前進したが、過半数の218にはまだ至っていない。
 共和党はインフレを巡って、バイデン政権の大規模な財政支出が原因だと非難。一方、民主党は最高裁が6月に否定した人工妊娠中絶の憲法上の権利や民主主義の擁護を訴えた。
 選挙直前の世論調査では、経済が重要争点との回答が目立ったが、米メディアによる出口調査では経済だけでなく人工妊娠中絶にも有権者の関心が集まった。保守的な考えが社会に強まることへの不安が女性を中心に広がり、民主党大敗とはならなかったようだ。
 今後、下院で共和党が多数となれば、米国の外交戦略や国際的な指導力にも変化が生じかねない。
 ロシアの侵攻が続くウクライナへの支援について共和党下院トップのマッカーシー院内総務は「白紙の小切手は切れない」と述べており、縮小の可能性は否めない。米国民の7割以上が継続に賛成しているが、長期化に伴う「支援疲れ」も指摘される。
 共和党のトランプ前大統領の今後の行動も気掛かりだ。
 トランプ氏の熱烈な支持層は、2020年大統領選は票が不正に操作されたと断定、暴力的な行動を辞さないグループもいる。乱暴な主張に、無党派層からも反発の声が上がる。
 それでも、トランプ氏と呼応する「選挙否定派」候補は今回、地方選を含めて160人以上が当選した。「米国第一」を掲げるトランプ氏に追随する議員が増えれば、バイデン政権との激しい対立が予想されよう。
 トランプ氏は24年の大統領選へ再出馬を表明する意向とされる。米国の民主主義はどこへ進むのか、日本は同盟国の立場からも注視する必要がある。