[米中首脳会談] 対話継続で溝埋めたい
( 11/16 付 )

 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席がインドネシア・バリ島で会談した。米中首脳会談の対面での実施は3年5カ月ぶりである。
 緊迫する台湾情勢を巡っては、互いに立場を主張し、譲らなかった。民主主義と共産党一党支配に基づく権威主義的な価値観との対立でも着地点は見えない。
 衝突回避のために意思疎通を強化することでは一致した。両大国が軍事的衝突に至れば、世界に与える影響は大きい。両国間の溝を埋め、共存していくために冷静な対話を継続するべきだ。
 最大の懸案である台湾問題でバイデン氏は、台湾海峡の平和と安定を損なう中国の威圧的で攻撃的な行為に反対を表明。米国の「一つの中国」政策には変更はないと強調した。
 習氏は台湾問題は中国の核心的利益であると主張し、米中関係で「越えてはならない最重要のレッドライン(譲れない一線)だ」と強くけん制した。
 背景には、両大国の覇権争いもある。米国は台湾を民主主義陣営の一角と見なし、擁護する。一方、中国にとって台湾は不可分の領土であり、米国の関与強化は台湾を利用した敵対行為に映るというわけだ。
 8月のペロシ米下院議長の訪台では中国側が猛反発し、台湾周辺で「重要軍事演習行動」を展開。日本の排他的経済水域(EEZ)内にも弾道ミサイルが落下した。こうした行動がエスカレートし、紛争に発展することが最も懸念される事態だ。
 習氏の主張する「レッドライン」が米側のどういう行動を指すのかは、判然としない。米中が交渉を続ける中で見極める必要があろう。
 米中は香港や新疆ウイグル自治区の人権問題、東・南シナ海情勢、貿易慣行など多くの分野でも対立を抱える。
 習氏は10月の共産党大会で異例の党総書記3期目入りを果たし、権力基盤を強めた。バイデン氏は中間選挙の上院で勝利し、2024年大統領選出馬に望みをつないだ。どちらも内政のヤマ場を乗り切り、外交に本腰を入れられる環境が整ったといえる。
 バイデン氏は会議冒頭、米中には衝突を回避する「責任がある」と指摘。習氏も米中関係の現状に懸念を示した。このままではいけないという認識を両国が共有しているということだ。
 両首脳がロシアを念頭に、ウクライナでの核兵器の使用や威嚇に反対を表明した点は評価したい。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対しても、自制を促すような連携を深めてほしい。
 会談では意思疎通を維持して課題への取り組みを深めるため、高官協議を強化し、ブリンケン米国務長官が訪中することで合意した。気候変動問題なども含めた課題の解決に向け、両国は大国の責務を果たしてもらいたい。