[ミサイル着弾] 予断排し調査急ぎたい
( 11/17 付 )

 ポーランド政府はロシア製のミサイルが、ウクライナに隣接するポーランド東部に着弾、2人が死亡したと発表した。今年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に着弾し犠牲者が出たのは初めてである。
 ロシア国防省は攻撃への関与を否定する声明を発表。バイデン米大統領もミサイルの軌道を考慮すると、ロシアから発射された可能性は低いとの見方を示した。
 ロシアとNATO間の緊張が高まり、紛争が拡大する事態は絶対に避けたい。そのためには予断を排して事実関係の調査を急ぐべきだ。
 ポーランド政府の発表によると、ミサイルは日本時間15日夜に着弾した。緊急会議を招集し、領空の監視に重点を置き、軍の臨戦態勢の強化を決めた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるNATOの集団安全保障への攻撃だと非難した。
 一方、ロシア国防省は声明で「ウクライナ・ポーランド国境でいかなる攻撃も行っていない」とした上で、「事態のエスカレートを狙った挑発だ」と主張している。
 海外メディアがウクライナ側による迎撃ミサイルの可能性を報じるなど不明な点が多く残されている。着弾したミサイルの残骸を専門家が調査し分析すれば、解明が進むだろう。ロシアとウクライナ、NATOには性急な行動を取らないよう自制を求めたい。
 最も懸念されるのは紛争の拡大だ。北大西洋条約5条は、加盟国が軍事攻撃を受けた場合、全加盟国への攻撃とみなし、武力行使を含む必要な行動を直ちに取ると規定する。この集団的自衛権が発動されれば、核保有国同士の交戦という最悪の事態に発展する。
 ミサイル着弾がたとえ偶発的な事故だったとしても、ロシアが武力を行使し続ける限り、同様の事態は起こり得る。NATOや欧州連合(EU)の各国に衝撃が走り、思わぬ衝突につながる恐れは否定できない。
 そうした危機を回避するには、ウクライナの紛争を早期に終わらせる以外に手はないだろう。ロシアとウクライナの和平交渉は3月以降途絶えている。9カ月近くに及ぶ戦闘は犠牲者を増やすばかりで、現状のまま終結に至るのはもはや困難ではないか。
 先進7カ国(G7)とNATOは緊急首脳会合を開き、ミサイル着弾に関するポーランドの調査を支援し、適切な措置を取るため緊密に連携することで一致した。あらゆる事態を想定して対応策を検討する必要がある。
 同時に、ロシアに撤退を求め、ウクライナとの対話のテーブルに着く仲介役を果たさなければならない。日本もG7の一員として、停戦の実現に積極的に関わっていきたい。