[不登校最多] 学びの機会を支えたい
( 11/24 付 )

 全国の不登校の小中学生が2021年度に過去最多24万4940人に上ったことが、文部科学省の調査で判明した。前年度より24.9%増え、約10年前に比べて小学生で4倍近く、中学生でほぼ倍増という深刻な事態である。
 鹿児島県も同じ傾向だ。県教育委員会によると、21年度の公立小中高校生の不登校は前年度比23.4%増の3688人で、4年連続最多を更新した。
 不登校急増の背景には長引く新型コロナウイルスの影響がうかがえる。ストレスや悩みを抱える子どもたちと向き合い、安心できる環境を整えるのは大人の責務だ。学校だけでなく、地域や行政とも協力し、支えていきたい。
 文科省は休校による生活リズムの乱れや、学校活動の制限で登校意欲が湧きにくくなったことを一因に挙げている。学校が判断した不登校の理由は「無気力、不安」がほぼ半数を占めた。コロナ下の不自由さが漠然とした不安につながっている可能性がある。
 感染の拡大防止を考えると、学校は体の不調を訴える子どもに登校を促しにくい。休校が相次ぎ、子どもや保護者も学校を休むことへの抵抗感が薄まったとされる。
 17年施行の教育機会確保法により、不登校の児童生徒には休養が必要との認識が浸透し、無理に登校させる指導も影を潜めた。こうした中、学びの機会をどう確保するのか。調査データを詳細に分析し、効果的な手だてを見いだしたい。
 本来なら学校が一人一人に寄り添い目配りする必要がある。しかし、世界最長の勤務時間とされる教員は多忙すぎて余裕がない。
 教員の過重負担はコロナ以前からの根深い問題だが、子どものSOSを見逃す要因になっているとすれば憂慮すべき状況だ。国は教員を増やすなどの現場支援を進めなければならない。
 ただ、対応を学校だけで抱え込むのには限界がある。学校以外で落ち着ける「居場所」の重要性は増している。
 県教委によると、21年度にフリースクールなどの学外施設を利用した公立校の児童生徒は108人。学校とは別の場所に教育委員会などが設置する「教育支援センター」は24市町村に34カ所あり、421人が利用した。
 鹿児島城西高(日置市)の普通科「ドリームコース」は、学習指導要領に縛られない学びを提供する「不登校特例校」に九州で唯一認定され、一定の受け皿になっている。大切なのはこれらの団体や学校が情報を共有し、密に連携して、個々の子どもが本当に必要とする援助につなげることだ。
 わが子の不登校に苦しむ親も多いに違いない。親が互いの悩みを語り合い、情報を共有できる場所も増えてほしい。子どもも親も安心できる多様な学びの場を社会全体で支援したい。