
[子育て費用] 長期的な支援策推進を
( 11/26 付 )
政府は国会で審議入りした2022年度第2次補正予算案に、妊産婦を支える「出産・子育て応援給付金」の事業費1267億円を盛り込んだ。妊娠時と出産時に分けて計10万円相当を支給する。出産に伴う費用を軽くし子どもを産みやすい環境を整える狙いだ。
しかし、当事者の妊婦からも効果に疑問の声が出ている。育児や教育の経済的負担は子どもが成人するまで続くため、不安解消には不十分との理由である。
少子化対策には、若い世代の経済基盤の安定や育児支援の拡充など根本的な課題の解決が欠かせない。政府は長期的な視点で、望む人が安心して子育てできる環境の整備を進めるべきだ。
応援給付金は23年1月に開始する。ベビー用品購入や育児サービスの利用を想定し、自治体の判断により現金やクーポンなどで支給する。妊娠期から出産後まで自治体職員が継続的に困り事の相談に応じる「伴走型支援」と組み合わせて実施するのが特徴だ。
0~2歳児を育てる家庭の支援は手薄とされてきた。産前産後のケアを制度化し手厚くした点は評価できる。
新型コロナウイルス禍での「産み控え」もあって出生数は減り続けている。22年は初めて80万人割れとなる可能性が高い。政府の想定より8年も早く少子化が進む深刻な事態だ。
国立社会保障・人口問題研究所の21年の調査によると、将来結婚する意向がある未婚者が希望する子どもの数は男性で平均1.82人、女性が同1.79人といずれも過去最少だった。結婚の意思がある人も男女ともに減った。
家族をつくり、子どもを産み育てようとする若い世代の意欲が一層減退していることがうかがえる。若年層の不安定な雇用と賃金の低下にコロナ禍が拍車をかけたことが大きな要因だ。安定した将来を見通せなければ、結婚や子育てに前向きになれないだろう。
所得の伸び悩みと物価高が重なる中、教育費は上昇の一途だ。夫婦対象の調査で、理想の子どもの人数を諦める理由は「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」が最多である。公費による支援拡充などの対策が欠かせまい。
育児や教育の費用を共働きで捻出する家庭は多い。にもかかわらず家事、育児の負担は今なお女性に偏りがちな問題も残る。男性の育児参加を促す制度は増えてきたが、実効性を伴っているか疑問符が付く。男性の意識改革とともに企業の協力を求めたい。
政府は応援給付金を来年度以降も続け、出産時に支給される「出産育児一時金」も、現行の原則42万円から引き上げる方針だ。ただ恒久的な財源確保のめどは立っていない。子育て関連予算を「将来的に倍増する」と繰り返す岸田文雄首相は、国民が納得できる明確な道筋を示さなければならない。
- [中国気球撃墜] 緊張の激化回避したい (2/8 付)
- [秘書官差別発言] 政権の人権感覚を疑う (2/7 付)
- [戸籍に読み仮名] 命名の自由広く論議を (2/5 付)
- [空き家対策] 増加に歯止めかけたい (2/4 付)
- [年収の壁] 「働き損」解消が急務だ (2/3 付)
- [教員の精神疾患] 職場環境の抜本改善を (2/2 付)
- [国際線再開] 定期便見据えた態勢を (2/1 付)
- [電力不正閲覧] 許されぬ法令順守欠如 (1/31 付)
- [細田氏と教団] 議長の資質が問われる (1/29 付)
- [ネット有害情報] 監視強化で事件防止を (1/28 付)
- [1票の格差「合憲」] 抜本改革に着手したい (1/27 付)
- [衆院代表質問] 国民の前で堂々議論を (1/26 付)
- [強制不妊訴訟] 強烈な人権侵害と指弾 (1/25 付)
- [通常国会召集] 問われる首相の「語る力」 (1/24 付)
- [コロナ「5類」へ] 国はリスク含め説明を (1/22 付)
- [ストーカー規制] いかに実効性高めるか (1/21 付)
- [「東電」再び無罪] 組織罰の導入急ぎたい (1/20 付)
- [経団連春闘指針] 中小企業の賃上げ鍵に (1/19 付)
- [元徴用工解決案] 関係改善につなげたい (1/18 付)
- [民生委員不足] 大切な役割周知したい (1/17 付)
- [日米首脳会談] 緊張緩和へ協力深化を (1/15 付)
- [安倍氏銃撃起訴] 動機と背景 徹底解明を (1/14 付)
- [馬毛島基地着工] 安全な暮らし守れるか (1/13 付)
- [鳥インフル拡大] 感染対策の徹底さらに (1/12 付)
- [高齢者労災多発] 安心して働ける職場に (1/11 付)
- [生物多様性目標] 実効性の確保が課題だ (1/10 付)
- [コロナ「第8波」] インフルと併せ対策を (1/8 付)
- [技能実習制度] 抜本的な改革急ぎたい (1/7 付)
- [子ども予算] 出産育児支える社会に (1/6 付)
- [外交・安保展望] 平和国家 今こそ前面に (1/5 付)
- [政治・経済展望] 政策に国民の声反映を (1/4 付)
- [県内展望] 腰据え変化に備えたい (1/3 付)
- [日本の針路] 若者とともに考えよう (1/1 付)
- [鹿児島この1年] 米軍との一体化が加速 (12/31 付)
- [東九州道] 全線開通へ4県連携を (12/30 付)
- [年金納付の延長] 持続的な制度へ熟議を (12/29 付)
- [特定秘密漏えい] 防衛力強化に不安募る (12/28 付)
- [噴火メール終了] 気象庁は丁寧な説明を (12/27 付)
- [原発賠償見直し] 実情に寄り添い支援を (12/25 付)
- [新年度予算案] 財政規律の軽視を懸念 (12/24 付)
- [薗浦議員辞職] 資金の使途 自ら説明を (12/23 付)
- [日銀緩和策修正] 弊害の検証が不可欠だ (12/22 付)
- [学術会議見直し] 独立性維持できるのか (12/21 付)
- [全世代社会保障] 子育て支援待ったなし (12/20 付)
- [水産物と温暖化] 国が主導し現状把握を (12/18 付)
- [防衛力強化-3文書決定] 安保政策の大転換だ (12/17 付)
- [防衛力強化-1兆円増税] 規模優先でいいのか (12/17 付)
- [知床観光船調査] 国の責任も検証が必要 (12/16 付)
- [被爆2世訴訟] 実態に即した援護策を (12/15 付)
- [インボイス制度] 税負担の大転換周知を (12/14 付)
- [クルーズ船再開] コロナへの対応万全に (12/13 付)
- [臨時国会閉会] 首相は説明が足りない (12/11 付)
- [中国コロナ緩和] 激変の影響注視したい (12/10 付)
- [救済法案成立へ] 実効性高める見直しを (12/9 付)
- [75歳医療保険料] 負担増の議論は丁寧に (12/8 付)
- [電力カルテル] 顧客の信頼を裏切った (12/7 付)
- [園児虐待] 実態の解明を速やかに (12/6 付)
- [崩落事故10年] 老朽インフラに備えを (12/4 付)
- [反撃能力] 疑問解消へ十分論議を (12/3 付)
- [同性婚訴訟] 国の「放置」許されない (12/2 付)
- [馬毛島知事容認] 議会で納得いく説明を (12/1 付)
- [原発行動計画案] 国民の合意が不可欠だ (11/30 付)
- [森友改ざん判決] 遠い解明、政府は本腰を (11/29 付)
- [東京五輪談合] 疑惑の徹底解明求める (11/27 付)
- [子育て費用] 長期的な支援策推進を (11/26 付)
- [教団被害者新法] 与野党協力し一致点を (11/25 付)
- [不登校最多] 学びの機会を支えたい (11/24 付)
- [防衛力強化] 装備と費用の精査必要 (11/23 付)
- [寺田総務相更迭] 遅い決断 国民の信失う (11/22 付)
- [肥料の高騰] 輸入頼みからの脱却を (11/20 付)
- [日中首脳会談] 緊張緩和を探る糸口に (11/19 付)
- [和牛新時代] 高い技術力でリードを (11/18 付)
- [ミサイル着弾] 予断排し調査急ぎたい (11/17 付)
- [米中首脳会談] 対話継続で溝埋めたい (11/16 付)
- [日韓首脳会談] 関係改善へ対話加速を (11/15 付)
- [第8波] インフル流行も警戒を (11/13 付)
- [葉梨法相更迭] 法務行政をおとしめた (11/12 付)
- [米中間選挙] 内政の混乱を懸念する (11/11 付)