
[東京五輪談合] 疑惑の徹底解明求める
( 11/27 付 )
東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡って入札談合が行われた疑いがあり、東京地検特捜部と公正取引委員会が独禁法違反容疑で、受注した広告大手電通などを家宅捜索した。発注側である大会組織委員会の関与も疑われている。
東京五輪ではスポンサー選定に絡む汚職事件で組織委元理事が受託収賄罪で4回起訴されている。新たに浮上した談合が事実とすれば、大会を食い物にする闇の深さにあきれるばかりだ。
どのような経緯を経て不正が行われたのか。徹底した捜査で解明しなければならない。
問題となったのは、テスト大会の計画立案などに関する業務委託事業の一般競争入札だ。技術や価格に基づく総合評価方式で、2018年に26件の入札が実施され、電通など9社と1共同企業体が落札した。
1件当たりは約400万~約6000万円だったが、9社と共同企業体はテスト大会や本大会の競技場運営もそのまま随意契約で受注した。契約総額は数百億円に上るとみられる。
見逃せないのが、発注側の関与が指摘されていることだ。東京地検特捜部などは組織委で発注に関わった元幹部の自宅も捜索した。
組織委は入札前に、電通の協力を得て競技ごとに実績のある事業者を記した表を作成。これが受注調整に利用された可能性がある。
五輪の中には日本でなじみが薄く、国際大会の運営ノウハウが乏しい競技もある。発注側には全ての競技で担当企業を確保できるのかとの懸念があったようだ。電通の協力なくして円滑な開催は困難との判断がうかがえる。
一方、公正さの観点からは懐疑的にならざるを得ない。
テスト大会関連の業務は大会運営局のテストイベントマネジメント部が担い、入札談合があったとされる業務委託事業の内容も検討していた。同部には電通など落札企業からの出向者が在籍し、受注調整に関与した疑いがある。
組織委の役員と職員は「みなし公務員」に当たり、「官製談合」の疑念も拭えない。五輪の経費には税金も投入されている。結果的に高額の支出につながらなかったか、検証が必要だ。
東京都は、談合疑惑について調査を実施することを決めた。年内にも中間まとめを公表する。契約や業者選定の手続きが適正だったのか、しっかり確認してもらいたい。
汚職事件と談合疑惑で、東京五輪のイメージは地に落ちた。30年冬季五輪の札幌招致活動にも悪影響を及ぼすことは必至だ。
今後の五輪運営への信頼を取り戻すため、国や日本オリンピック委員会(JOC)なども加わり、再発防止へ動き出すべきだ。
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