[救済法案成立へ] 実効性高める見直しを
( 12/9 付 )

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡る被害者救済法案が衆院本会議で可決された。審議は参院に移り、国会会期末のあす成立する見込みとなった。
 立憲民主党が政府、与党の修正を評価。賛成の姿勢を示していた日本維新の会と足並みをそろえた。野党第1党として、法成立に関わることで法律の実効性を高めるべきだとも判断した。
 とはいえ被害者救済と再発防止を着実に図っていく取り組みのスタートにすぎない。政府は支援を充実させるための見直しを重ねていく必要がある。
 旧統一教会は霊感商法や高額寄付が報じられてきた。法案には、個人から法人や団体への寄付を対象に、不当な勧誘を規制する狙いがあった。
 「霊感」で不安をあおったり、威圧的な言動を取ったりするなど六つの勧誘行為を禁じた。不当行為が認められ、国の勧告、命令に従わない場合は、懲役や罰金などの罰則を科す。不当な勧誘に困惑し寄付の意思表示をした場合の「取り消し権」も設けた。
 焦点の一つが、マインドコントロール(洗脳)下の寄付の扱いだった。
 洗脳下の寄付取り消しを求める立民、維新に対し、政府は洗脳の定義が難しいとして明記を見送った。代わりに、寄付を受ける側に「自由意思を抑圧しない」などと求める配慮義務規定を加えた。
 野党はこの配慮義務を「禁止行為」とするよう求めたため、与党側は、配慮義務を守らない場合は勧告・公表の対象にする修正に踏み込んだ。さらに「十分に配慮」と、強い表現に変え、施行後3年をめどとしていた見直し規定も2年に短縮した。
 そもそも立民、維新が独自法案を共同提出した時点では、自公に合意に向けた機運は乏しかった。一転、野党側に譲歩し、短期間での決着を図った背景には、政局が絡んでいたのは想像に難くない。
 救済新法の早期成立は岸田政権の重要課題の一つ。支持率低迷の中、成果を出す必要があった。連立を組む公明は宗教団体・創価学会を支持母体とし、警戒しながらも「救済に後ろ向き」ととられては来春の統一地方選に影響しかねない危惧を抱いていた。
 霊感商法対策に取り組む弁護士は「被害実態からすると不足している点がいくつもある」と述べる。他の法人への意見聴取などもほぼないまま議論が進んだ点を「慎重さに欠ける」と指摘する宗教学者もいる。政治的な思惑で妥協を急いだ部分があるとすれば問題が残ろう。
 今後の運用が問われている。河野太郎消費者担当相は施行後に運用状況を確認する検討会をつくる考えを示した。当事者の声に耳を傾けながら、実態に沿った救済につなげてもらいたい。