[東九州道] 全線開通へ4県連携を
( 12/30 付 )

 九州東側の高速交通網は、西側に比べて遅れている。特に鉄道がほぼ廃止された大隅半島にとって、自動車道の整備は長年の課題だ。
 東九州自動車道の鹿屋串良-志布志が昨夏開通し、鹿児島市と北九州市を結ぶ全長436キロ(九州道、大分道との重複区間を除く)のうち通行できる割合は9割ほどとなったものの、宮崎県内に未開通区間のほとんどが残る。
 鹿児島、宮崎、大分、福岡4県は一日も早い全線開通へ向けて連携を強めるべきである。
 鹿屋、志布志両市役所間の所要時間は54分から34分に短縮された。国管理区間のため通行は無料。また、鹿児島市から志布志市までようやくつながったことにもなる。
 4県は半世紀以上前から東九州道の建設促進を要望しているが、整備は遅れている。
 鹿児島県内では1992年に加治木-隼人東が開通した後、大隅半島へ順次延伸し、鹿屋串良まで開通したのは8年前。宮崎市と北九州市が直結したのも6年前である。
 開通していない区間のうち、10月には志布志市から宮崎県境までの約4キロなどが着工。ただ、宮崎県南部に約13キロの未事業化区間がいまだにある。途切れていては自動車道としての効果は十分でない。早急に事業化するとともに、既に着工している区間には今後十分な予算配分を求めたい。
 串間市によると、全線開通すれば同市と宮崎市は現在の110分から1時間短縮され50分となる。大隅半島からも宮崎・大分方面にアクセスが格段に向上することになり、人や物の往来が増え、物流や観光振興につながることが期待される。
 災害対策でも有効だ。マグニチュード(M)8~9級が30年以内に70~80%の確率で起こると予測されている南海トラフ巨大地震は、震源域が東海沖から九州沖と広い。鹿児島、宮崎両県など九州東岸では被害が出る可能性が指摘されている。
 鹿屋、志布志と宮崎方面を結ぶ国道220号は、津波が予想される太平洋沿岸を通る区間があり、がれきなどで通行できなくなる恐れもある。内陸側にある東九州道は、災害時の避難や救助活動、迂回(うかい)路、復興支援などで有効だろう。
 2020年7月豪雨でも国道220号は、大崎町などが数時間冠水して住民や通行車両に影響が及んだ。複数のルートがあれば荒天時の通行止めなどでは補完的な役割を担うはずだ。
 曽於地区などでは東九州道へのアクセス道建設を求める声も強まっている。早急に検討してもらいたい。
 4県は官民協力して全線の早期完成の必要性を国に訴え、九州全体の発展を図らなければならない。