[県内展望] 腰据え変化に備えたい
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 日本を取り巻く安全保障環境やエネルギー政策が激変する中、鹿児島も対応に追われる一年となりそうだ。時流に流されることなく、腰を据えて地域の将来を展望し、変化に備えたい。
 新型コロナウイルスは感染拡大から4年目に入るが、いまだ収束は見えない。それでも共存へかじを切りつつあり、鹿児島では今年、クルーズ船受け入れや国際線の再開が予定される。
 一方、ロシアによるウクライナ侵攻や円安は、資源高や物価高騰として表れ、県民の暮らしを困窮させている。
 感染対策で命と健康を守りながら、県内経済をいかに復調させられるかが問われよう。
 昨年末に閣議決定された安全保障関連3文書には反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有が明記されるなど、戦後の安保政策の大転換となった。
 県内では、海上自衛隊鹿屋航空基地で米無人偵察機の運用が始まり、西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備は着工の動きが迫る。
 防衛体制の強化が進むことで県内にどのような影響があるのか。住民の安全・安心を第一に注視していきたい。

■地元に広がる不安
 3文書には、反撃能力を担う装備として「スタンド・オフ・ミサイル」の運用方針を明記した。陸上自衛隊瀬戸内分屯地(瀬戸内町)や沖縄に配備されている12式地対艦誘導弾(SSM)を改良し、射程を延ばすなどして敵の攻撃圏外から対処する能力を強化する。防衛省は瀬戸内を含む、既にSSM部隊がある駐・分屯地などを中心に配備を検討するとみられる。
 さらに文書には、南西地域における空港・港湾施設などを整備・強化し、利用可能範囲を拡大することも記述された。
 大規模演習が相次ぐ奄美や、基地整備が予定される馬毛島では、島が攻撃を受けることになるのではないかと、周辺住民らから不安の声が上がる。「2027年度までに輸送能力を強化し、住民避難の迅速化を図る」とも書かれているが具体的な動きはないままだ。
 国民を置き去りにして防衛力強化の論議を進めてはならない。全体像の中で鹿児島がどういう位置付けになるのか。県は国から十分な説明を引き出し、県民に示すべきだ。
 今年は奄美群島の日本復帰70年の節目でもある。戦後の歴史を振り返り、平和について考える契機ともしたい。
 政府は昨年末、脱炭素化に向けた基本方針を決め、次世代型原発への建て替えや運転期間延長などを盛り込んだ。
 原子力規制委員会も、原発を最大限活用する政府方針を追認する形で60年超運転を可能にする安全規制の見直し案を了承した。東京電力福島第1原発事故を教訓に定められた規制制度は大きく転換することになる。
 九電が運転期間延長を規制委に申請している川内原発1、2号機(薩摩川内市)も、新制度が施行された時点で改めて認可を受ける必要があるとされる。だが、60年以降について安全性を確認する具体的な方法はまだ示されていないなど、議論は生煮えと言わざるを得ない。
 県では原子力専門委員会の分科会が運転延長について科学的・技術的な検証を進めている。厳正に検討し、県民にも丁寧に情報発信してもらいたい。

■国体の準備万全に
 長年の懸案である鹿児島港本港区(鹿児島市)の利活用方針が決定されるのか、注目の年ともなりそうだ。
 県は新総合体育館の整備地を本港区のドルフィンポート跡地に決定。体育館の配置を変えて本港区エリアにサッカー等スタジアムを造る鹿児島市の構想も浮上している。
 県は本港区利活用に関する検討委員会で両プロジェクトの在り方も含めた議論を始めた。結果を踏まえて23年度末をめどに活用の全体像の策定を目指す。
 桜島を望み、アクセスにも優れた一等地である。幅広い意見が集約されることを期待する。
 当初予定から3年の延期を経て、鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会が10月に開催される。地元大会への出場を目指す選手や競技を開催する地域には、コロナ下でさまざまな苦労があったことだろう。万全の準備で成功に導くとともに、大会が今後のスポーツ振興や障害の有無にかかわらず生活しやすい街づくりなどにつながってほしい。
 屋久島が国内初の世界自然遺産に登録されて30年。屋久島環境文化財団の呼び掛けで、世界自然遺産がある国内22市町村の地域会議が立ち上げられる。自然保護や人との共生など共有する課題は多い。「奄美・沖縄」と合わせて2件の世界自然遺産を抱える鹿児島のリーダーシップが求められよう。
 春には、県議会議員選挙など統一地方選がある。地域の将来をともに考える意識で、しっかりと選択したい。