[コロナ「第8波」] インフルと併せ対策を
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 鹿児島県内で新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。
 年末まで19歳以下と親世代の30~40代が中心だったが、年明けからは20代が増え高齢者にも広がる。さらにインフルエンザも3シーズンぶりに流行入りし、拡大が懸念されている。
 感染対策は二つとも基本的には同じだ。換気や消毒を欠かさず、ワクチンも可能なら打つといった対策を今まで以上に徹底したい。
 県は5日、新規感染者が5209人確認されたと発表し、最多だった昨年8月18日の4948人を超えた。きのうまでの2日間も4644人、4147人と高い水準が続く。
 医療機関への影響が深刻だ。病床使用率は上昇しており、うち重症病床は過去最高を更新した。既に満床になった医療機関もある。
 県は「これ以上感染者が増えると医療逼迫(ひっぱく)が懸念される」と危機感を示す。安定的な医療体制の確保は急務だ。
 5日の急増は、年末年始で人の往来や交流が活発になったことに加え、医療機関が通常診療を再開したため受診者が増えた影響があるとみられている。昨年来、感染力の強いオミクロン株が広がっていることも背景にあろう。
 死者が連日複数出ていることも気掛かりだ。重症化リスクが高い高齢者の対策は特に重要となる。
 きのうから3連休が始まった。「成人の日」に合わせ若者らが集まる機会もあるだろう。冬休み明けの学校再開で感染者がさらに増える可能性もある。
 コロナ禍は間もなく4年目に入る。慣れから感染対策がおろそかになっていないか、改めて点検したい。
 インフルエンザの流行も気になる。1日までの1週間、定点医療機関から報告された患者数が流行の目安となる1人を超えた。
 近年流行していないため、集団免疫の低下による子ども世代を主とした大流行が心配される。体調管理をしっかりと行い、発熱などの症状があれば外出は控えたい。ワクチンはコロナとの同時接種も可能だ。
 一方、水際対策が緩和され、全国旅行支援も10日に再開される。経済再生を期待する声は根強い。
 政府は感染症法上の位置付け見直しを巡り、今春をめどに、2番目に危険度が高い現在の「2類」から、インフルエンザと同等の「5類」に引き下げる方向で検討している。
 5類になると感染者への外出自粛要請や入院勧告がなくなり、医療費の自己負担が生じる。ただ、入院費などの公費負担は経過措置として継続する方針とみられる。
 今は流行「第8波」の感染状況を見極めなければなるまい。国は自治体の状況に目を配りつつ、拡大を抑え込む対策を優先すべきである。